ブログネタ:サンタさんにお願いしたいことは?
参加中だ、大丈夫かよ、サンタさん……?
…サンタクロースにお願いしてもいい、とお許しが出ても、まずはそう呟きたくなることこそ、何故、近頃サンタさんが現れてくれないかの理由をはっきりとさせてしまっていますな。つまり、大人になり過ぎた、ということです。
ですが、ここはあくまで大人の分別に拘るといたしまして、毎年12月の24日に繰り返されるサンタさんの苦行を見てみましょう。
まず。サンタさんの24日は24時間だと思うのは甘い甘い。この地球には時差という厄介なものがありますので、全ての国のクリスマスに現れようとするのでしたら、その一日は何と31時間になります。
サンタさんが未だ伝統を守ってキリスト教信者の子供たちのみにプレゼントを持ってくるといたしましても(因みにこれは世界中の子供たちを相手にした場合と比べてそのたった15%ですが)、彼は一秒に丁度822.6軒の家を廻ることになります。つまり、約一万分の一秒という速さでソリを停め、煙突に潜り込み、プレゼントを靴下に詰め、同時にクッキーとミルクを飲み下し、再び煙突から去らなければならないんだから、ボルト選手も真っ青だぜ。それをこなすソリの速度は秒速1040km以上でないと無理ですが、たったそれっぽっちかと言う人は、ユリシーズ探査機の最高速度が秒速40kmぐらいということを思い出してみましょう。凄いものです。一体あのトナカイと良く似ている地球外生物は何を餌としているんでしょうね。地球のトナカイは時速24kmが限界なんですけど。
そしてプレゼントの重量ですが、これはクィーン・エリザベス号の約四倍ぐらいと考えられます。また、もしサンタクロースが絵で見るように些かメタボな方ですと、移動時にこのおじいさんにかかる負荷は約2000万ニュートン。これ全てを火の玉にもならず、爆音も発しないまま何とかするんですから、この方、例え何時か定年退職しても、絶対NASAで雇ってもらえそうです。
ちょっと嬉しいのは(私たちにとって、であって、サンタさんがどう思っているのかは分かりませんが)、この速度で移動するとなりますと、アインシュタイン先生の定義によりサンタさん個人の一日は31時間どころか、約一万日の長さになるということですな。幾ら残り364日には仕事しなくても良いとはいえ、これは明らかに労働基準法に反しているとしか思えないのですが。
こんなお方に一体これ以上、何をお願いしていいのか。それよりはせめてうちに寄ってくださる一万分の一秒の間、ちょっと息抜きして頂いた方がいいんじゃないのか。
…などと考えたくなるのが人情ですが、まあここは心を悪魔にいたしまして。ふっふっふ。
で、いろいろと望みを考えてみたのですが、ここでどうしても「サンタさんに果たして何が出来るのか」という問題に引っかかります(何しろ大人ですから)
この人、確かに超人的な速度で世界中の子供たちにプレゼントを配ることは得意なようです。これは生前、まだニコラウス枢機卿と呼ばれる頃に、貧しくて困っている人たちの窓から真夜中に金の塊を投げ込んだ、という実績がありますから、任せておいても大丈夫な特技かと思えます(但し、最も古い伝説によるとこの方、投げ込んだ金はどこかから盗んできたらしいですけど)
他にも正教やら中世やらの聖人伝を見る限り、この人には他人の夢にひょっこり現れたり、船に積んだ麦を増やしたり、バラバラ事件の死体を生き返らせたりは出来るようですな。但し、どうやら聖人伝では別の枢機卿さんと混ぜこぜになっているので、どこまでサンタさんお一人で成し遂げたのかは調べようがないですが。
ですがあれだけ聖人が多いキリスト教のことですし、サンタさんが出来ないことをお願いしても、「わしはその担当ではないですじゃ」と、まるで区役所で窓口を探している時のようにお断りされてしまう恐れはあります。病気一つ治してもらいたくても、その種類によってそれぞれ担当聖人がいるんだしね。しかも一応、菜之花はエイズから歯痛まで聖人図鑑を全て調べてみたのですが、サンタさんが担当している病気は残念ながら一つもない。まあ光速移動なんかしている人に病人を任せたくないのも確かだけどさ。
世界平和、くじ運、ペット運や試験の合格なども生憎この方の分野ではありません。地震も止めてくれないし、落雷も逸らせてくれない。それこそインターネットやコンピュータの聖人さんですらないんだもん。
まあ哲学や神学に興味ある人ならこの与えられた一万分の一秒だけでも、アリウス派を実際にはどう思っていたのかとか、三位一体は果たしてイデア論に矛盾していないかとか、デカルトやヒュームをどう考えるかとか、この人と議論を交わしてみるのは大変楽しいかと思えます(自分だったらエックハルトの神論についてどう思うか訊ねると思う)
但しこの人、まだ生きていた頃には議論中に意見の合わない相手を殴り倒して逮捕されているから、これはこれでちょっぴり危険が伴うかもしれませんけど。
…なになに、これじゃサンタさんはまるっきり役立たずじゃないかって?宇宙版クロ○コヤ○トである以外に何か使い道があるのかって?
いえ、そうでもないのですよ。
この人、実は消防署(火難ではありません。これはまた別の人)とか結婚とか船とかは護って下さる聖人さんですので、その三つに関しましては何かお願いしてみるのも手かと。但し、あくまで一万分の一秒で成し遂げられる範囲、という条件がありますが。
でも、そんなものには全く興味がない、とふてくされる方は――
ここは童心に戻り枕元に靴下を下げておいて、25日の朝、その中にチョコレートが入っていたら大喜びする。そして大声で叫びましょう。 「サンタさん、どうもありがとう!」って。
これがやっぱりサンタさんにとっても、私たちにとっても一番のプレゼントではないかしら…?