人的資本経営
37歳で野村證券の大森支店長就任した時、私は早速、社員一人ひとりと「1 on 1」のミーティングを実施した。
ひとり60分の時間を使って相手の話を聞いた。
私も自分の話をしっかりと聞いてくれる人には心を開いた。
人は自分を認めてくれる人には心を開く。
素直な気持ちになれる。
しかし、自分を認めてくれない上司には反発したくなるようなものだ。
あるいは、言っても無駄と思って逃げ出したくもなる。
私は当時最年少の支店長でありながら、野村證券の132ヵ店の中では中堅支店を任せられた状況にあった。
支店には7つの課があり、それぞれにポスト課長がいた。
しかも、私より一回り以上上の人ばかりであった。
一回りも下の支店長から色々と尋ねられるのは本人も嫌だろうと想像した。
そこで、私はそれぞれの課長の今までのキャリアを徹底的に調べ、私の人脈と共通する人がいないか事前に調査をした。
ポスト課長との「1 on 1」のミーティングが始まると、やはり緊張されている。
私は「○○課長は以前△△支店にいらして××さんとご一緒でしたね」と切り込んだ。
「実は私も××さんとは別の部署でご一緒して」と伝え、その時のおもしろ話を披露した。
すると、大森支店の課長もその話に反応を示してくれた。
支店長として上から接するのではなく、野村證券の同僚としての話し方をした。
上司の自己防衛本能として、支店長としての権限を使ってコントロールをしたくなるものだ。
私は共通項の話題から入いり、今抱える支店の問題に耳を傾けた。
私が聞く耳を持っているとわかると課長たちはそれぞれ私に問題点を話してくれた。
上司からの愛情や信頼が感じられなければ、部下たちは胸襟を決して開かない。
人は感情で動くもの。
支店経営で無限の果実をもたらしてくれるのも人だ。
人的資本経営の始まりだ。
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