とんでもない会社①
今月から私もビジネス歴42年目に突入する。
24歳で社会人となり、42年目の春を迎えた。
振り返ればあっという間の42年であった。
野村證券に入社が決まり、営業からスタートすることはわかっていたので、練馬の自宅近くのゴルフの打ちっぱなしで練習もした。
営業マンなら、お客様や上席とゴルフぐらい出来て当たり前と言われていたからだ。
ビジネスマナーの本や営業ノウハウ本も片っ端から読んでいった。
鈴木健二の「気配りのすすめ」なども勉強になった。
社長さんを開拓するのだから、いいスーツを買おうと伊勢丹に行ってスーツを新調した。
できるビジネスマンは足元がビシッとしていると書いてあったので、靴も丈夫なものを複数購入し、靴磨きセットもついでに買った。
白のカッターシャツが清潔感があるので、これも自分の身体にフィットするものを数枚購入した。
良く眠るためのマットレスも少しいいものを購入して、仙台にある野村證券の独身寮へ3月下旬に送った。
これからいよいよ待ちに待った「市村洋文サクセスストーリー」の始まりだと胸が高鳴ったのを昨日の事のように覚えている。
そして、4月1日の野村證券の入社式での「命課」を終え、仙台支店へと同期の田中彰一君と新幹線「やまびこ」で向かった。
仙台駅に到着すると先輩か誰かが迎えに来てくれているのではないかと淡い期待をしていたが、誰も駅のホームには迎えの人はいなかった。
田中君と2人で仙台支店を探しながらボストンバッグを持って歩いて行った。
仙台支店は駅前の大きな映画館ビルの1~3階にあった。
「新人の市村と田中です」と1階の受付の人に挨拶をすると、2階に上がってと言われ、2人で2階へと進んだ。
すると、当時はパワハラなどという言葉は世の中に影も形もなかった時代だったが、罵声と怒声が営業場から聞こえてきた。
ノルマを果たせない社員を上司が怒鳴りつけているのがわかった。
田中君と2人で顔を見合わせた。
とんでもない会社に入ってしまったなと。
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