文学少女の教え
都立富士高等学校の2年F組の時に、私の隣りの席に座った女の子が文学少女だった。
彼女は私に「市村君、高橋和巳って知ってる?」「高橋和巳の『憂鬱なる党派』とか『邪宗門』がおもしろいから貸してあげるよ。」
借りて読んでみたが、内容が革命だとか教団の興亡だとか難しくて良くわからなかった。
それでも「おもしろかったよ」と本を返すと、彼女は今度は「市村君、倉橋由美子の『パルタイ』を読んだらいいよ、とってもおもしろいよ。」
これは共産党内部の話でドロドロしていて、とてもおもしろいとは思えなかった。
又、高野悦子の「二十歳の原点」も読んだ方が良いとも言われたが、読めなかった。
彼女は地方の国立大学に進学したが、その後の消息は知らない。
いつも隣で本を読んでいた。
知識量を私の10倍以上持っていた。
「昨日テレビで何を見た?」と聞いても「見ていない」と答える。
「郷ひろみの新曲いいよね?」と聞いても「知らない」と答える。
当時の富士高には良く勉強する仲間が沢山いた。
勉強もするが、運動も出来た。
皆が各地域の中学校で上位5位に入っているような秀才ばかりだったからであろう。
内申点も高くないと富士高には入いれなかった。
だから体育も皆、良く出来たのだ。
文学系の子もいたが、音楽も美術も抜群の子も数多くいた。
1970年代の富士高には個性豊かな人材が集まっていたのだ。
しかし、私より優秀な女性の同期は、四年生の大学へ行くと就職できなくなると言って、短大に行く子もいた。
日本の企業社会において女性の地位はまだまだ低かった時代だった。
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