上品さと寛容さを求め | いっちゃんのひとり言

上品さと寛容さを求め

作家の大江健三郎さんが亡くなった。

88歳だった。愛媛の山村に生まれた大江さんは在学中に書いた「飼育」で芥川賞を受賞。

「性的人間」や「想像力」「同時代」「重層性」などが大江文学のキーワードだろうか。

「核時代の想像力」や「ヒロシマ・ノート」に表れた時代への問題意識にも多くの 読者が影響を受けた。

大江さんがノーベル賞を受賞した1994年は日本の国内総生産(GDP)の世界シェアが2割近くになり、ほぼ戦後のピークに達した時期。

受賞講演のタイトル「あいまいな日本の私」は川端康成の「美しい日本の私」を意識したそうだ。

「新生に向かう日本人を支えていたのは、民主主義と不戦の誓いであって、それが新しい日本人のモラルでありました」とスピーチされた。

戦後文学者の原点を振り返り、日本人の理想を「上品さ」や「寛容さ」に求めたとも。

「九条の会」の設立を呼びかけ、安保法制に反対する署名活動を進め、「まあまあ怠けはしなかったといっていいだろう」が作家生活50年時の自己評価だと3月1 日の毎日新聞コラム『余禄』にあった。

大江さんの「二百年の子供」(2003年刊)は、前書きに「私の唯一のファンタジー」とある通り、タイムトラベルの冒険譚(たん)は異色であり、話題作でもあった。

出身地の四国の風土に根差した設定で、障害のある長男という登場人物は大江さんの家族と重なる。

過去の小説を読まれてきたファンにはなじみがあろう。

大江作は、私にとって「やさしいことを難しく書いている人」という印象だったが、終戦から高度成長期、そして現在。

価値観が揺らぐ今、作品をもう一度読み返したい。

 

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