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35歳の若手社長で、私のイチオシの男が兵庫県の西宮にいる。

私と同じく昨年実父を亡くしたという。亡くなった60代の父が創業者であり、35歳の現社長は2代目である。35歳と言えば、私がまだ野村証券のサラリーマンで管理職になったばかり位の年齢であったが、彼は立派に大組織を動かしている。

彼の茫洋とした風貌と包容力のある物腰が若い社員達を引き付けている。西宮の広大な本社の庭には、創業者が集めたと言う数多くの石塔が社員達を見守っていた。奈良時代や室町時代の石塔もある。

ひとつひとつの石塔に創業者の想いが入っている。その想いを石塔を通して現社長に毎日エールを送っているように思えた。「負けるな！」「今日も頑張れ！」

ゼロからイチを創った先代の後を引き継ぐことは、口で言う程簡単ではない。しかし、37年に亘って会社を黒字で継続してきた先代の経営力は称賛に値する。

ゼロからひとつひとつの信用を積み重ねて、今日の会社を創ってきたのだ。その会社を昨年より若手社長が引き継いだ。

彼は今、父の意志を引き継ぎ、守るものは守り、改善すべきことは改善すると行動を開始した。平均年齢が20代の若い組織に変わりつつ、第2の創業期がスタートした。先代の創り上げたプラットホームの上に、次の成長の種を蒔かねばならない。それは組織を強固なものにする人作りであり、顧客基盤の拡大のための攻めの営業体制の確立である。