トヨタの奥田碩さんに学ぶ
日本の企業はリーマンショック以来、過去の経験や手法が役に立たない、困難な問題に遭
遇している。
しかしこうした日本企業の苦悩を横目に、新興国は確実に力をつけ、経済のグローバリゼーションも一時の休みもなく、着実に進んでいる。
現在の強烈な84円という円高の中で、日本企業の国際化は、避けて通れない必然の流れとなる。
日々の面談の中で、オーナー経営者の方々は他社の成功要因を私に聞きたがる。
「あの社長の成功の秘訣は何なのか」「うちのどこに問題があるのか」
大学の先生方は「ビジョンの共有が大切だ」とか「経営資源の選択と集中がポイント」とか「独自の商品開発力だ」とか色々ともっともな話をされるが、私はトヨタ自動車の元社長の奥田さんの話をいつも思い出す。
KOBE証券の社長時代にお会いをし、その時に奥田碩さんは私にこうした話をしてくれた。
「私の若い頃のトヨタは活気があった。クルマを売ってくるまで帰ってこないぞ、と皆が思って外交に出ていた。しかし、今の若い人はおとなしくなってしまった。それは管理職が悪い。消費者に迫って、欲しいと思う商品をすばやく販売するというベンチャー企業にある「売る力」がトヨタになくなりつつある。成功している企業、勢いのある企業には「売る力」がある。」
競争力のある強い製品を創り、開発する技術力があり、そして商品を売るための強烈な営業力がある。
こうしたものに優位性がなければ利益は上がらない。
優勝劣敗がはっきりする時代に横並びなどない。
世界の列強は日本の市場を狙い、猛烈な勢いで仕事をしている。
頑張った者を称賛する健全な競争意識を持ち、「売って来るまで帰らないぞ」の気概を持って営業をしなければならない。
今の円高も株安もデフレも発想を変えれば、大チャンスである。
要は消費者の求めるもの作り、すばやく売っていく事である。
売る力、それは営業力である。