日本経済に上向きの兆候
4月23日~5月20日の1ヶ月間、上場会社24社のオーナーの方々と個別にお会い致しました。
一年前の春にお会いした時は、この先どうなるのか経営に対する不安感いっぱいのお話でしたが、今回お会いしたところ着実に皆様のマインドは上がっていました。
● 要因①
新たな事業に対して投資意欲が上向いてきている。
長引く不況の中、リストラをし過ぎてしまった企業は人員不足に陥っています。
実際に当社で相談を受けている企業も、この3月まで人員をぐっと引き締め過ぎた為、人材が足りなくなる結果に。
お会いした24社のオーナー経営者の大部分の方は、当社に人材紹介を依頼してきており、このことからも各社が攻めに転じてきている!と感じました。
● 要因②
各社の主力事業に明るい兆しが出てきた。
各社共、一旦は長いトンネルの中に入りましたが、目指す先に光が見え始め、トンネルを脱出し始めました。
特に、主力事業において明るい兆しが出始めてきたことは、日本経済にプラスになる材料です。
● 要因③
上場会社の業績の足下が固まってきている。
今回、私が24社のオーナー経営者の方々とお会いして思ったのは、業績が回復傾向にあり足下がだいぶ固まってきているという点です。
ですから、決して大きく日経ダウ(平均)が下がることはないでしょう。
1万円を大きく割り込んだ時が今年の一つの買い場だと思います。
● 要因④
アメリカ経済の回復。
現在、経済危機の懸念が高まるギリシャ問題等で、世界経済を取り巻く環境に暗雲が立ち込めているように見えますが、実は、オバマ政権下でアメリカ経済は確実に回復してきています。
①~④で述べたように、アメリカ経済の回復に加え、日本国内の上場企業の主力事業が持ち直してきていることから、日本経済も着実に上向き始めていると思います。
ここで、ギリシャの話題にもう少し触れますと、ギリシャの世界におけるGDPの比率というのは、わずか2.4%しかありません。
よって、ギリシャ一国の経済危機では、世界経済に与えるインパクトはたいしたものではないのです。
ギリシャの余波をヨーロッパ経済が受けると危惧する向きもありますが、ドイツ、イギリスを含め万全の金融システムが整っているので、皆さんが考えるほど私は悲観的には見ていません。
それよりも今、上場会社24社のオーナーの方々は、まさに攻めに転じてきている!
この新しい動向にこそ、むしろ注目すべきだと思うのです。
繰り返しになりますが、個別の面談では「人材不足」と「主力事業が回復して来ている」というお話が大半を占めました。
さらに、製造メーカー、飲食、サービス業などは、アジアマーケットへの進出についてのお話も多くありました。
つまり、日本のマーケットだけではなく、海外、特にアジア地域に特化して進出していく。
なかでも中国は、「製造工場」から「消費対象地域」として位置づけが大きく変化してきています。
アパレルを例に挙げると、今までユニクロの服は中国で縫製して日本やアメリカで売るというパターンでしたが、最近では中国でも大量に売るようになってきました。
同じように、ラーメンも今まで日本で売っていたものが、中国マーケットを主戦場として売るようになってきました。
これはやはり、中国に近いという日本の地理的有利性を大いに活用しようという考え方があるのでしょう。
中国の消費者をターゲットに入れた動きというのは、上場会社の中で如実に出てきています。
7月から多くの中国の人たちが日本にやってきます。日本の観光をアピールする大チャンスです。
今こそ、経済の踊り場の中でいい会社を見極め、中長期の投資の対象にすべき時ではないでしょうか。
このことは私が1月の新春経済講演会でお話ししたことと、相場観は変わっていません。
今年はいい意味で踊り場であり、来年、再来年と日本は大飛躍すると思っています。
踊り場の時こそ、“成長力のあるいい企業”を仕込んでおくのです。
いい企業が花開くには、醸成の時間が必要です。企業が熟成するには時間がかかるもの。
例えば、美味しいワインは熟成するのに時間がかかるのと同じように、これから世界的に発展していく企業というのは、熟成していくために醸成する時間が多少いるでしょう。
この一年間が醸成期間になるのではないでしょうか。
日本経済に上向きの兆候が現れた今、来年の春以降から日本は安定成長していく!と私は考えています。