経済界大物のお二人の経営哲学 | いっちゃんのひとり言

経済界大物のお二人の経営哲学

去る11月に、経済界の大物お二人とお会いする機会がございました。






お一人目は、ドトールコーヒーの創業者である、鳥羽博道名誉会長です。

鳥羽会長は、日本経済新聞のコラム『私の履歴書』に直近に連載されていましたので、ご存じの方も多いと思います。



会食の席では、『私の履歴書』を執筆するに当たっての日本経済新聞のライターとのやり取りをはじめ、創業に至るまでの苦労話、ドトールが全国展開するまでの成功秘話等々、様々なお話をお聞かせ頂きました。



鳥羽会長のお話の中で、私が最も感じた事は


「思いは必ず実現する!」


という鳥羽会長の熱い強い思いです。



鳥羽会長は高校を中退後、将来のコーヒー事業を夢見て単身でブラジルに渡航されました。



終戦から14年が経とうとして、荒廃の中から立ち上がった日本が、少しずつ自信を持ちかけてきた頃です。



ブラジルのコーヒー農園で3年間汗を流し、帰国。



24歳にして、ドトールコーヒーを設立されます。



その後、東証一部上場企業となり、銀座に本社を構えるまでにドトールを成長させました。



本社の神棚には、自分の思いを書いた色紙をいつも置いているそうです。



目標が正しく、耐え忍ぶ時には耐え忍び、打って出るべき時には打って出れば、必ず成功する時が来る。

「努力、忍耐、時」



を重んじる鳥羽会長は、目標達成への願いが強ければ強いほど、願いは通じるものだと話されていました。



常に目に届くところに目標を掲げることで、強い意志を持って夢を追い求めていく!



鳥羽会長の、揺るぎない経営哲学を教わった思いです。


『私の履歴書』に今までの自分の生き様を連載できる事は、財界の垂涎の的です。


私にとって憧れの大先輩にも関わらず、会食中も気配りを忘れないお姿に本当に敬服致しました。



お二人目は、サザビーリーグ代表取締役社長・森正督氏です。



森社長とは私が野村證券勤務時代、株式公開前からのお付き合いで、かれこれ14年になるでしょうか。


出会った当初は、鈴木陸三オーナーの下で専務を務められており、その頃からのお付き合いでございます。



先日久しぶりに、サザビー本社で森社長にご面談のお時間を頂きました。


設立当時からサザビーの経営戦略は、


「半歩先のファッションの提案」


「半歩先のライフスタイルの提案」


でありました。


鈴木オーナーは、アニエスbと新しいファッションを共同開発したり、スターバックスコーヒーも展開されるなど、「これからの日本は、こういうライフスタイルになるだろう!」と先見の目に長けておられました。


そして、鈴木オーナーは自分自身とサザビーが今日あるのは、森社長のお陰だといつも絶賛されておりました。


 ニューヨーク

 ロンドン

 パリ

 日本


これら4か所で、鈴木オーナーは春・夏・秋・冬に亘り同じ場所で定点観測を何十年も実践されてきました。


ファッションの動向を、素材・デザイン・カラー・コスト等、あらゆる面から分析していったといいます。


鈴木オーナーは、新しい流行の方向性を見つけてくるために、自由に海外に出ていく時間を森社長のサポートのお陰で作れたそうです。


そして、鈴木オーナーの「半歩先の感性」を森社長がビジネス化。


二人三脚のビジネスが幕を開けました。


サザビーは、ルイ・ヴィトン等の流行を日本流にアレンジして、お手頃価格でバッグを提供。


オシャレなバックは爆発的ヒットとなり、その後、ファッションから家具に至るまでのライフスタイル提案へと、裾野を広げ大成功を収めています。


経営基盤では、財務がしっかりしていたことも功を奏しました。


森社長は面談を通じて、他社の良い所も色々と話題に出されていたのが印象的でした。


例えば、快進撃を続けるユニクロ。


ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長である柳井氏の戦略について、他のアパレル関係者が批判的な中、森社長はデザイナーとのコラボレーションが素晴らしいと評価。


「安くて良いものを世界的に広めている」と、認めていらっしゃいます。


ライバル企業を褒める森社長は、寛容で器の大きい人物だと感じました。


さらに、ビジネスを「じゃがいもの皮むき」に例えた話も、説得力がありました。


これからの社会人は、プロでなければ通用しないと力説。

2時間でジャガイモを50個剥くのがプロであり、20個しか剥けずに残業代を請求するのはプロとはいえないと。


「プロの世界は、時間内に何ができるのか!」が重要なのです。


やはり高い専門性に尽きるのです。



昔話に華を咲かせながら、当社のサポート事業もしっかりご提案させて頂いた次第です。


このように、経済界の大物お二人と久しぶりにお会いする素晴らしい機会を頂戴し、私も活力を頂きました。


心より感謝申し上げます。