何の為に仕事をしているのか、何の為に頑張っているのかよくわからなくなった。
ひいては何の為に行きているのか、生きる価値があるのかも分からなくなって、息の仕方もよくわからなくなった。
ある縁で知り合った先輩に相談した。色々な経緯があって、数回しか会ったことの無いその人たちと東北を巡り、被災地を訪ねることになった。
この旅でたくさんの方々と知り合うことが出来た。こんなに色々な人に話を聞く旅は初めてだった。
アポを取って訪ねた人もいたし、現地でたまたま出会い、長々と話し込んだ人もいた。
今回の旅をどこから切り出して良いのか分からないが、やはり被災地の話からになろうか。
まず、痛感したことは東京にいると何も分からないということ。
例えば気仙沼のように少しずつでも前に向いて動いているところの情報は入ってくる。港が復活して、何ヶ月ぶりにセリが行われたとか、この土日には震災以降開催できていなかったお祭りが行われたとかそう言った情報が新聞にも載るし、テレビでも流れる。
だから、どの地区もそれなりに、同じくらいのスピードで復興しているように感じてしまう。
しかし、それは事実ではない。
一つのまちを例に出すのは良くないのだろうけれど、あえて挙げて書くが、
陸前高田に足を踏み入れた時の衝撃は忘れられない。
道路は復旧しているが、庁舎も郵便局も高校も体育館も流されなかったありとあらゆる建物があの日のままで残っており、建物の中には流されてきてそこで停まったのであろうぺしゃんこになった自動車があったり、「捜索終了、何月何日」と壁に赤いスプレーで書かれていたり、高校の黒板にはあの日の授業の痕跡が残っていたり。
あの日のままの風景が至る所に残っていた。
通過していく車、がれきを集め、選り分け、砕き処理する為のトラックやクレーンはせわしなく動き、着々と仕事をこなしていた。一歩一歩前に進んでいることはわかっているのだけれど、元には戻らないだろうことも明らかだった。
この先色々書いたのだけれど、消した。
当事者でない僕が知った風なことを書くのはおかしいと思う。
被災地に行って、陸前高田の状況を見ることが出来て良かった。失われた命と残された命のことを思った。
失われた松と残された松。残された松は希望なのか苦しみなのか。希望であって欲しい。生きていって欲しい。簡単に「死にたい」なんて考えちゃいけない。生かされている限り生きなくてはいけない。失われた命のことを思い、生きていかなければと思った。
今は直接的にボランティアをしたり何かしらの支援活動をすることは出来ない。けれど、自分の道で自分の出来ることを一生懸命にすることがどこかで復興に繋がると信じて自分のすべきことをする。それしか無いのかなと思う。すごく自分勝手ではあるが、そう感じた。
気仙沼では笑顔を見ることが出来た。
南三陸では貴重な話を伺い、仮設住宅にもお邪魔させてもらった。実際にあんな高台まで津波が来たんだということは経験した人から直接話を聞かない限り想像もできない。
その方は震災をポジティブに捉えようと努力していた。それがとても印象的であった。
震災で失ったものは多すぎるけれど、それを考えるのではなく、震災で得たものを考えたいと。
得たものが何かというと、圧倒的な人との繋がりだと言う。震災が無ければ決して繋がることの無かった人と繋がることが出来た。だから、そういった人達がまた南三陸に戻ってこられる場所を作りたい、集落の人も、隣町の人も、ふっと訪れた人も、震災をきっかけに繋がった海外の人もイコールで使える場所を作りたい。
南三陸のひと、東北人は内気で外ものに冷たい。それが震災で外ものの暖かさを知って変わってきた。また、地元民が憧れる都会人に「このまちはいいねえ」「天国みたいだね」「おばあちゃんの漬け物おいしいね」と言われることが、地元がパワーとプライド、自信を取り戻す一番の源なのだ。
そう教えてくれた。
具体的なことは出来なくても、足を運ぶだけでも力にはなれるのかもしれないと感じた。
そして、全く綺麗では無いのだけれど、常に開放的で、畳と縁側と土間のある人の集まる場所が作れたら良いなと思った。
沿岸部をひたすら走って本当に本当にいろんなことを思った。自分の今の状況や、自分の感情とも向き合った。
それらは自分の中にしまっておく。
最後にそれでも明記しておきたいのは、海は常に穏やかで、圧倒的に美しかったということ。
あの日以外は以前と何も変わらずに穏やかに寄せては返す海をそこに暮らす人々はどう見ているのだろう。
考えることは本当に多かった。
今回の旅では被災地以外でもたくさんの人に会うことが出来、まちづくりについて考えることが出来た。
何かを始め、継続しなければ何も成し遂げられないということはよくわかった。
うだうだ悩んでいてもしょうがないのだろう。
同時に、大きな傷、後遺症を負っていることにも気づかされた。
困ったもんだ。