・・・・・・・っということで、アキ・カウリスマキ監督祭りの最終回。
原題は【Take Care of Your Scarf, Tatiana】で「君のスカーフに気をつけろ、タチアナ(女性の名前)」という意味になりますが、映画の内容と何の関係があるのやら。
冴えない二人の男と、冴えない女二人のロードムービー。
62分と短い映画ですが、最後の方まで見ないと何を言いたいのかサッパリ分かりません。
カウリスマキ映画の常連であるカティ・オウティネンがタチアナを演じますが、主演は二人の男性のほうです。
母の縫製の仕事を手伝うコーヒー中毒の男。
一応自動車修理工であるアル中の男。
車の試運転ついでに、二人で目的のないまま南(ヘルシンキ方面)へドライブに出ます。
当然、閉塞状態の現状からの逃避ですが、目的も計画も全くない衝動的なものです。
途中で、女性二人を乗せます。
エストニアのタリン行きのフェリーに間に合わせるという目的ができます。
自動車修理工は自称ロックンローラーですが、単にロックに憧れているだけの中年です。
例によって会話ほとんどなし、しかも白黒映画。
限りなく無声映画に近いです。
二組のペアになってホテルに泊まりますが、何も起きません。
ダンスも踊りません。
船に二人を乗せたのに、自分たちもフェリーに乗ってタリンまで行ってしまいます。
しかし、修理工はいつのまにかタチアナと心を通わせ、一緒に住むといってエストニアに残ってしまいます。
残されたコーヒー好きは、虚しく母親の元に戻ります。
曲がりなりにもロック的に生きた男と、ロック的に生きられなかった男の対比。
ロック的な生き方とは何なのだ?
ロックに憧れる気持ちがあるものの、気が小さいが故に現状打破できない男たちの悲しい物語でした。
二人は違った道に進むことになりましたが、人生としては大して差はないでしょう。
★★★★☆