・・・・・・・っということで、アキ・カウリスマキ監督祭りの続きです。
原題は【Ariel】で、最後に出てくる貨物船の名前です。
Arielとはヘブライ語で、「神のライオン」あるいは「神殿の炉」という意味らしいのですが、カウリスマキがそこまで考えているか分かりません。
”プロレタリアート3部作”の最後です。
炭鉱労働者が炭鉱の閉鎖に伴って職を失い、南に向かって旅を始めます。
この男、何しろツキがない。
最後は刑務所に収監され、脱獄し、銀行強盗をした挙句殺人まで犯します。
しかし、彼に罪がないことは観客だけが知っているのです。
彼が悪くはないのだけれど、社会が悪いとも声高に主張するわけでもない。
「運命」というのだろうけれど、何しろツキがないとしか言いようがない。
この監督の特徴として、「神」の存在について考えさせることは一切ないのです。
いつものように主人公はそういう境遇に対して反抗も抗議もするわけではなく、「仕方なく」生きるだけなのです。
男女の出会いとか、アクションシーンなんか、わざと雑に描いているとしか思えません。
徹底的に暗いストーリーなんだけれど、何か深刻さをやり過ごして、まるでコメディーのような不思議な感覚を覚えるのです。
そう、人間なんて「滑稽」な存在なんだよねと思わされるのです。
どの作品にも必ず出ている女優のカティ・オウティネンが今回は出演していません。
★★★★☆