・・・・・・・っということで、人の評価は棺桶の蓋が閉じられてから決まると言われています。
安倍晋三元首相についても、数々の評価が下されることでしょう。
ぼくの中で、彼はどういう人だったのか、自分なりに納得した上で、引き出しの中にしまうことにします。
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色々な思いがありますが、結局彼は「コツを掴んだ人」と思うのです。
どんなコツかというと、「政治家としてのコツ」です。
コツを掴んだからこそ、366+2,822=3,188日という最長在位記録を打ち立てたのでしょう。
では政治家のコツとは何でしょう?
それは、「かわすコツ」じゃないでしょうか。
何をかわすかというと、「追求」からです。
政治家という人種は例外なく「脛に傷」を持っているものです。
「過去の傷」を追求されて失脚した政治家の何と多いことか。
そして、「政策」に対する追求です。
安倍さんは数ある首相の中でも、特にこれが上手だった。
それは、彼の持つ才能でした。
彼は2度とも「健康上の問題」で退任しました。
追求をかわすためだとぼくは睨んでいます。
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それ以上に彼を語る上で重要な要素。
それは、血筋の良さでしょう。
祖父→父→と続いた政治家の血筋。
そして、明治以降に指導者を輩出してきた長州という血筋です。
追求をかわすコツは、血筋の中で鍛えられたと分析して良いでしょう。
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このコツを掴んだ政治家は、世界の中でもそう多くはありません。
バイデンは長い政治家生命を持っていますが、コツを掴んでいるようには見えません。
何と言っても、コツを掴んだ政治家の第一人者はプーチンでしょう。
2000年 - 2008年、2012年 - 現在まで、ざっと計算しても18年×365日=6,570日です。(ざっとですよ。)
コツを掴んだからこそ、ウクライナ侵略戦争を始めたとぼくは思っています。
世界中の政治家を相手にしてきて、彼は見切ったのです。
自分に敵う政治家はいないと。
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ぼくが安倍さんが偉いなと思うところは、「海外出張を厭わなかった」ことです。
2度目に就任したときは、えっ?彼は病気じゃなかったの?・・・ってぇくらい数多くの外交を展開しました。
英語力がどうだったか知りませんが、日本の首相で彼ほど外国の首脳たちに「顔を売った」総理大臣はいません。
世界の端っこに位置する日本の首相として積極的に海外に出向くのは、義務でもあります。
その点、外務大臣の印象が強い岸田文雄さんには大いに期待しています。
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しかし、かわすコツだけでは総理大臣の資質としては全く足りません。
かわすだけでなく、「攻めるコツ」は不可欠ですから。
ぼくは、安倍さんのこの点がよく分からない。
要するに実績ですよね。
安倍さんが自画自賛していた「アベノミクス」。
これについて、さっぱり分からない。
「3本の矢」なんて標語は断片的に聞こえてきますが、あまり知りたいと思いませんでした。
興味のあるのは「結果」のほうです。
現在の経済の結果は、在位期間3,188日がもたらした結果でしょう。(その後を継いだ菅さんもですが。)
こと経済政策としては、安倍さんを評価できないのではないでしょうか。
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彼が意志半ばで命を奪われたことはとても残念なことです。
彼の持っていた「政治家としてのコツ」を伝授して生かす機会は、永遠に失われてしまいました。
彼は、ぼくより2歳年下でした。
まだまだ、彼は会得したコツを使って、政界で影響力を発揮したことでしょう。
それは、日本にとって良かったのかは判断できませんが。
しかし、歴史というのは残酷なものですね。
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以上が安倍晋三についてぼくが納得したところです。
もちろん時間が経って、引き出しから取り出して書き直すことは何度もあるでしょうが・・・。