・・・・・・・っということで、限りなくドキュメンタリーに近い映画。
プロの俳優は主人公のファーンを演じたフランシス・マクドーマンドとデイヴ役の二人だけで、他は実際のノマド(放浪者)が実名で出演しています。
ほぼドキュメンタリーと言っていいくらい。
定年になったら、RVに乗って全国を気ままに旅をしたいと、かなりの人が夢を持つことでしょう。
一種のロマンを感じますよね。
しかし、アメリカにおける現代のノマドたちからは、そんなロマンなど感じられない。
何故なら、あのリーマンショックによる不動産バブル崩壊で、仕事を失い、家を失った人たちが荒野に放り出された姿を描いているからです。
しかも、ノマドはノマドでも、その殆どは高齢者ばかり。
アメリカンドリームの成れの果てです。
しかし老人となっても、彼らは誇りを失わない。
裕福な生活に未練を抱いていない。
逆に、これがアメリカ人の原点だとさえ感じている。
表面的な人間との付き合いではなく心の奥底で繋がることの大切さを知っている。
ノマドたちは実に思いやりを持って仲間と接している。
だからといって、深い関係を築くことをあえて避けようとしている。
相手を束縛しないから、自分も自由になれるのです。
それぞれのカットはとても短い。
セリフも極力少なくしている。
その代わり、荒涼とした自然の風景が画面の多くを占めている。
この映画は、劇場の特別大きなスクリーンで見るべきでしょう。
大自然の中で、悠久の時間の中で、人間の存在と人生の何とちっぽけなことかを否応なく感じさせられます。
ストーリーは殆どなく、淡々と映像が進むだけですが、とても緻密に練られた構成です。
伝えたいことはとてもシンプルであるのに、心に深く沁みる作品です。
アメリカ社会の矛盾を描いているようですが、人生とは何かという人間共通の普遍的なテーマを扱っています。
まあ、すごい映画です。
★★★★★