映画【the Outpost】を見て考えたこと(その2) | so what(だから何なんだ)

so what(だから何なんだ)

人生のバックパッカーのブログです。
暇はあるけど体力と金と気力がない。
そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・・っということで、映画【the outpost】はなかなか含蓄のある映画でした。

全編の殆どが戦闘シーンで、単なるアクション映画のように見えますが、騙されてはいけません。

アフガニスタン戦争を描いた、【ローン・サバイバー】とか、【ホース・ソルジャー】等のアクション映画とは完全に一線を画しています。

それらのテーマは戦場の過酷さ、兵士達の絆を通してアメリカの正義、愛国心の高揚は歌い上げていますが、所詮はエンターテイメント映画です。

【The Hornet's Nest】や【レストレポ前哨基地】等のドキュメンタリーは、なるべく現状を正確に伝えることで、戦争の意味を考える機会を観客に提供しています。

しかし、この【the outpost】は明らかな政府に対する政策への痛烈な批判です。

舞台になる山で囲まれたすり鉢の底の前哨基地は、アフガニスタンという国を表しています。

圧倒的に不利な戦場に送り込まれた部隊は、アメリカ軍そのものです。

そして、安全な場所にある作戦本部は、ペンタゴンです。

主目的はタリバンを駆逐することですが、現地人の懐柔も大きな任務の一つです。

映画では、その無意味さを描きます。

長老にお金を渡し、インフラを援助し、物資の供給をします。

ところが、現状を無視しているために、何の役にも立ちません。

明らかに、映画はアメリカ政府がアフガニスタンを正しく認識していないと告発しています。

しかし、強調して描くわけでもなく、逆に素っ気なく扱っています。

山の上からタリバンは、毎日の挨拶のように、小規模な攻撃を仕掛けています。

それは、確実にアメリカ兵の絶え間ない流血を強います。

そうしながら、アメリカ軍の弱点を研究していたのです。

相手はバカじゃないということです。

・・・・・・

出演者の中で名前が通っているのは、オーランド・ブルームただ一人です。

彼のファンには申し訳ないけれど、彼は単なる客寄せパンダの役割です。

その証拠に、早い段階で死んでしまいます。(ネタバレですみません。)

それも、つまらない死にかたです。

この映画は、よくあるヒーロー物語ではないことを示しています。

彼が活躍してはマズいのです。

・・・・・・

そして延々と続く戦闘シーン。

これを見ると、アメリカ兵は実に勇敢であることが分かります。

恐らく、世界最強の兵士です。

それもそのはず、ずっと実戦で鍛えられているのですから。

彼らと正面から戦うのは、絶対に避けるべきです。

・・・・・・

最後は多大な犠牲を払って死守してきた基地を放棄して撤退します。

ヘリコプターから基地のあった谷が爆破されるのを、疲れきった兵士達が眺めます。

正に20年間戦い続けたアフガニスタンから、アメリカが手を引くことと重なります。

いったいアフガニスタン戦争は何だったのか?考えさせられます。

そこから映画は、エンドロールが続きます。

戦死した実際の兵士達の映像と授与された勲章が続きます。

ぼくは、これは蛇足だと思います。

深読みすれば、メダルと命との比較することによって皮肉な意味を感じますが、これはアメリカ人向けのサービスとして省くわけにはいかないのでしょう。

・・・・・・

以上のように、深い意味が込められた映画なのです。

コロナの影響もあって、興行的な成績は納められなかったようですが、アフガニスタン戦争が終結したあとも、名画として残る作品だと思います。


(追記)
書いたあと思い出しましたが、アメリカはアフガニスタン兵を軍事訓練して、アメリカが引き上げたあとを引き継がせようとしています。
それらしい軍服に身を包んだアフガニスタン兵たちが並んで、真面目に訓練を受けています。
ところが、本格的な戦闘が始まった途端、一斉に持ち場を放棄して逃げ去るのです。
アメリカ兵が彼らの背に向かって、「おい!戻ってこい」と叫ぶシーンには笑えました。