【ノルウェイの森】 | so what(だから何なんだ)

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【ノルウェイの森】
村上春樹著
(1987年9月) 講談社

嫌な本だ。

不快な本だ。

人のマスターベーションを目の前で見せ付けられ、用済みになったティッシュを手渡された気分だ。

文章を書くってことは、マスターベーションに似ている。

日ごろ思うことを書き溜め、ある程度溜まったところで文章にして吐き出す行為である。

村上春樹という人物は、今で言う「草食系」の男だ。

子供時代、学生時代、レコード店経営時代を通して、読書をずっと続けていたという、

いわばネクラのオタクだ。

決して表には立たず、教室や、図書館、世間の片隅で、彼独自の感覚で世の中を観察し続けて来たに違いない。

そして、文章を発表したら、予想外に世間受けしたものだから、変に自信を付けてしまったのだろう。

彼本人の写真を見たまえ。

本に書かれている主人公のようだ。

でも、彼が小説の中の主人公のようにモテるか?

モテないね。

はっきり言って、オタクのネクラだもの。

その、現実のフラストレーションを、自分の小説の中で晴らしている。

それは人の勝手だが、読まされるほうはたまらない。

作家の実像と、出来上がる小説は別だと反論されるだろう。

じゃあ、言いますが、この小説のどこが良いんじゃ?

現実世界の矛盾や、不条理がテーマだろう。

確かに、表現として随所に光るものを感じる。

とくに、自然とか、風景描写が上手い。

風景を描くときに、目ではなく、心の目を通して見るこというコツを知っている。

最近の若い作家にはない実力をその辺に感じる。

そもそも、小説なんてウソの世界なのだから、それをリアルなものに錯覚させるために、風景描写は必要だ。

だが、その描写がクドすぎる。

あまりにも、リアル性に欠けたウソっぽい世界なもので、それを隠そうとしているように見えるのだ。

さり気なくするべきものなのに、ガウンのボタンの数とか、具体的な数に言及することが頻繁で、またかと思わされる。

それと、人物の設定があまりにも画一的だ。

一生懸命、人物を描き分けようとしているのだけれど、どれも村上春樹のクローン版でしかない。

特に、女性の心の描き方は難しい。余程の実力がなければ成功しない。

ここに登場する女性は、パターン化されて、どれもステレオタイプだ。

この辺に、作者の実力の限界を感じる。

この作家の小説を読んだのは、コレが初めてだから、その後、彼がどのように成長したかは分からない。

でも、この本が430万部も売れた、大ベストセラーだという事実は、認めなければならない。

それだけ、この本に共感する者が多いのだろう。

そうすると、私は極めて少数派に属す。

でも、私のように感ずる「良識」を持った人も、確実に存在することも自信を持って言える。

最後に、彼の持つ「感覚」に対しては、非常に高い評価を与える。

だから、彼は小説より、随筆とか紀行文でそ実力を発揮すべきだと思う。

そっちの方面で、溜まったものを「発散」してくれたまえ。