【セメント樽の中の手紙】 | so what(だから何なんだ)

so what(だから何なんだ)

人生のバックパッカーのブログです。
暇はあるけど体力と金と気力がない。
そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

【セメント樽の中の手紙】
葉山嘉樹(著)
任天堂DS文学全集

・・・・・んっ?DS文学全集?
っと思われたでしょう?

そうです、ニンテンドーDS用のソフトなんですよね。

日本の小説の古典が100冊分入っている。

それでいて、3千円ちょっと。

1冊あたり三十数円で読めるというお得なソフトです。

・・・・・エ~っと、そんなことより小説の中身・・・っと。

プロレタリア文学だという。

【蟹工船】に影響を与えたという。

たしかに、劣悪な作業環境で、安月給の上、長時間労働。
働けど働けど、一向に生活は楽にならない。将来の夢なんか描けない。

こうなりゃ、いったい誰が悪いんじゃ?

そうだ、自分たちをこき使っている資本家が悪いんじゃ。

俺たちゃ、資本家に詐取されているんだ。

そうだ、みんなで立ち上がろう!!

労働者が団結して、革命じゃ!革命じゃ!!

そんなことを煽るのがプロレタリア文学なら、この本はそんなものとは違うと思う。
御伽噺のような筋立て。
悲しい御伽噺。
【蟹工船】より、こちらのほうがもっと悲しい。

資本家に詐取されているかもしれないが、生きていくためには資本家に頼らざるを得ない。
資本家をやっつけろというアジテートには、乗っかりやすい。単純に。

でも、やっつけた後の具体的なビジョンが描けない。

そして、共産主義という幻影に縋ったのじゃないか。

そして、その幻影は、資本主義と同じか、それよりさらに悲惨な世界だったじゃないか。

それは散々レーニンや、毛沢東が証明して見せたじゃないか。

だから、この作品は悲しい。

【蟹工船】のように、幻想を撒き散らさないだけ、よけいに悲しい。