【硫黄島】 | so what(だから何なんだ)

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【硫黄島】
R.F.ニューカム著
光人社 NF文庫
2006年11月17日

こういう本を読むのは気が重い。
日本軍の方はほぼ全滅だからである。
当然内容もアメリカ軍からの記録が殆どである。

特定の人間に焦点を当てて書いてはいない。
淡々と、具体的な名前が出てきて、どう戦い、死んでいったかの羅列である。
ストーリー性は全くない。

逆に、こういう書き方がこの戦いの本質を伝える効果を上げている。

それまでの戦いは、日本軍はジャングルのどこかで勝手に死んでいった。
しかし、硫黄島での戦いは、原始的な戦いの姿、即ち至近距離の敵との白兵戦であった。

ちょっと、それ以前の海兵隊との戦いの記録を調べてみた。

(1)硫黄島の戦い(1945年2月16日から3月26日)
日本軍の戦死者数 約20,000名
日本軍の俘虜    約1,000名(生存率4.7%)
アメリカ軍の戦死者  6,821名
アメリカ軍の戦傷者 19,217名(殺傷率1.24)

(2)タラワの戦い(1943年11月21日-11月23日)
日本軍の戦死者数 約4,600名
日本軍の生存者     17名 (生存率0.4%)
アメリカ軍の戦死者 1,009名
アメリカ軍の戦傷者 2,296名 (殺傷率0.72)

(3)サイパンの戦い(1944年6月15日から7月9日)
日本軍の戦死者   30,000名
    捕虜      921名(生存率3.0%)
アメリカ軍の戦死者 3,500名
      戦傷者 13,160名(殺傷率0.54)

アメリカ軍の戦死者数が硫黄島で突出しているのに目を奪われるが、殺傷率というものを出してみた。
これは日本兵が一人当たり何人のアメリカ兵を殺傷したかである。

私は、硫黄島で頑張りすぎた事が、原爆投下という悲劇を招いた大きな原因であると思っている。
この後、沖縄戦をアメリカは経験するのだが、こんな小さな島で日本軍はこんなに頑張るんだから、日本本土を陥落させるにはどれほどの犠牲を払わなくてはならないだろうと、アメリカ側が考えるのは当然だと思う。
何しろ、日本軍は降伏をしないのだから。

よく、原爆投下の正当性をアメリカが主張するとき、「アメリカ兵の犠牲を最小限に止めるため」というのを根拠に使う。
民間人を22万人も殺しておいてフザケるな!!っと言いたいが、上の数字を見ると、アメリカ人がそう信じたくなる気持ちも分からないではない。

栗林中将は紛れもない優秀な軍人であったが、彼の頑張りがもたらした結果は皮肉なものである。

硫黄島戦において、アメリカ軍は毒ガスの使用も検討したという。
原爆といい、ベトナムにおける枯葉剤といい、クラスター爆弾といい、アメリカが考える事は、実にデジタル的である。