【狭き門】
アンドレ・ジイド著
岩波文庫
1937年12月15日刊
何をいまさら名作シリーズです。
やたら時間をかけて書いたナっという印象を受けた。
物語にスピード感がない。
けなしている訳ではない。
小説一冊をモノにするのに、昔の人は丁寧に、真摯に取り組んだというのが良く分かる。
内容も織物を見るような構成である。
一本、ジェロームとアリサの恋愛が通っているが、それと交差する人物がさりげなく描かれている。
さりげなくと書いたが、それぞれの人生が重い意味を持っている。
最近の若者はこんな考え方するかよ!!っと突っ込みたくなるほど、古風である。
サッサとやっちまえよ!!(ちょっと下品だが)っとイライラする読者も多いだろう。
だが、基本的なところでは、恋をする男女の心理は、昔も今も変わらない。
他人から見ていると、不器用で、じれったくなるものである。
登場人物は、皆真面目である。
超が付く真面目さである。
しかも、神が出てくるので、理解が難しくなる。
こっちとら、信仰心など全く持ち合わせていないので、そんなありもしないものに振り回されるなよ!!っといいたくなる。
そうなんです。
著者も信仰心の厚い人に違いないとは思うが、宗教の持つ弊害を言いたいのであると思う。
その弊害とは、若者の精神的な自由を奪って苦しめることである。
お互いを理想化するあまり、自分が相手の期待に応えなくてはならないという苦しみ。
ジュリエットが姉のために、自分を犠牲にすることで得た生活上の安定。
一見幸せそうに見えるが、実は姉の相手であるジェロームを愛し続けて苦しんでいたこと。
反対に、姉妹の母親は、父親を捨てて駆け落ちしてしまったという背景。
などなど。
本当に、織物のように練り上げられた構成である。
やっぱり、名作ですな。