【過去のない男】 | so what(だから何なんだ)

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そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

【過去のない男】
2002年フィンランド映画
アキ・カウリスマキ監督

たまたま合わせたNHKBSチャンネルで、何気なくつきあっていたら、最後まで観てしまった。

ナンジャこの映画は??!!
?マークと、!マークが頭の中をくるくる回ってしまった。

この映画には、今までの映画を観るときにあるルールが通用しない。
そんなルールなどあるのか?...っと突っ込まれそうだが、私もそんなものがあるとはこの映画を観るまで思ってもいなかった。

まず、どこの国の物語か?
服装、人種、風景から手がかりは掴めない。
何となく、東ヨーロッパの国らしいという雰囲気だ。
途中で、ヘルシンキという町の名前が出てきたので、ポーランドか?....っと、自分の無知さ加減を暴露してしまった。
ふ~ん、フィンランドかァ。
どうりで見たことのない国だ。
フィンランドといえば、シベリウスだ。
他には?
う~ん、それだけだ。
でも何か薄汚く、ビンボー臭い国なんだな。

では、いつの時代の話か?
観たところ、浮浪者がいっぱいいる時代だから、終戦直後かァ?
走っている車から、の予想だが。
だが待てよ、主人公が元自宅に帰るときに乗ったタクシーはかなり現代的だぞ。
変だな。
たしかフィンランドは福祉国家のはずだから、現代の物語とすれば、こんな浮浪者が多いはずはないぞ。

このような疑問は映画が始まったときから、最後までこれでもかと続くのだ。

最初に映画を観るルールといったが、どんなに荒唐無稽な物語でも、そんなことあるわけないジャンという前提そのものを楽しむところがあるはずだ。
だがこの映画では.......

心臓が止まったあとでもフラフラ病院から出ることができること。
主人公は、金を持っていないにも拘らず、いつもタバコを吸っていること。
自分の車を乗り逃げされるとも疑わずに貸してしまう、本当はお人好しの悪徳警官(?)。
突然出てくる、音楽バンドがノリノリのロックを聴いて目覚めたはずなのに、やはりダルい曲しか演奏しないこと。
銀行なのに、女性行員が一人しかいないこと。
その銀行に、ヤブカラボウに強盗が押し入るのだが、他の客は?警備員は?監視カメラは何のため?
金庫に閉じ込められて行員女性と二人きりになって、空気が少なくなってくるといっているのに、悠然とタバコを吸いだすこと。
その銀行が、よりによって北朝鮮に乗っ取られるという、脈絡のない会話。
会う人、会う人、皆やたら親切なこと。
バアサンとのキスシーン。(見ちゃいけないものを見たと思った。)
主人公が、列車の中で何で、日本の演歌を聞きながら箸を使って握り寿司弁当を食べるシーンが何故必要なのか。
生肉しか食わん獰猛な犬だから、手なづけようとしたら食い殺されるっというわりには、やたら愛想のいい犬。
法律を殆ど丸暗記している敏腕弁護士。

などなど、延々と不可解ワールドが展開される。
書ききれない。
書ききれないどころか、全編この調子だ。

見終わったあと、インターネットで製作時期を見てまた驚いた。
2002年だ。たった5年前の作品だ。

アキ・カウリスマキ監督の伝えたい、人間の本性。即ち愛であることは良く分かる。
約1時間半の淡々とした物語を、短く感じさせられる手腕は認める。
昨年のカンヌ映画祭でグランプリと主演女優賞に輝いたこともエライと認める。

だが、不思議な映画だ。
地球ではなく、別の星の話だと思うことで、ようやく私は自分を納得させることが出来た。
オススメの映画と胸を張って推薦できないが、不思議な映画を観たい人は、是非ドーゾ。
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蛇足だが、この映画の本題について、若干の感想を。
監督の意図するところは、人間一度リセットしたら、その人の本質が出てくるのではないかということ。主人公の記憶を完全に無くすことによって、今まで彼の辿った人生を完全にリセットしたらどうなるか、という実験的な映画。
何も持たない無防備の赤ん坊(この場合オッサンなのだが)が、ナゼ誰からも親切にされ、(獰猛なはずの)犬にもなつかれ、従業員に支払う金額を全て託されたり、新しい音楽に目覚めさせたり、愛を知らずに人生を送ってきたオバサンを目覚めさせたりできるのか....。
決して良い人ではなかった主人公さえ、人を愛することが出来るようになったのは、人間は結局「人を愛したい」という本性を持っているということを監督は伝えたかったのだろう。