これはイイ。
この10年間の映画の中では、ベスト10に絶対入るでしょう。
おバカ映画ばかり垂れ流しているアメリカが、ときたまこういう優れた作品を産み出しちゃうんですから分からないものです。
尤も、作品は限りなくイギリス映画です。
物語はダニエル・デイ・ルイス演じる人気オート・クチュールの仕立て屋と田舎娘の愛の葛藤・・・というより、愛のバトルですかね。
ルイスはエゴの塊で、女性を愛の対象とすることができない。
ウェイトレスをしていた田舎娘を見初めるのですが、それは愛情からじゃないんですね。
あくまで自分の仕立て屋としての腕前を見せつけるために選んだのです。
彼女自身も自覚しているのですが、背が高すぎるし、胸もなく、腕が太いという劣等感を持っているのです。
はっきり言って美人じゃない。
それを洋服ひとつで、魅力的な女性に彼は変身させることが出来てしまう腕前なのです。
そんな風だから、男女関係は長続きしない。
しかし、彼女は彼の愛情を勝ち取るために様々な反撃を試みる。
そんなやり取りが、静かな会話と控え目の演技で進んでいきます。
彼はイライラさせられることになるのですが、様々な危機を迎えながら次第に愛について学んでいくのです。
結局は彼女と結婚するのですが、そのあとも平穏じゃない。
彼が女性と上手く付き合えない(妥協できない?)理由は、ベースに母親と彼の姉の存在にあることが分かってきます。
彼女も彼がなかなか理解できない。
しかし、あるとき偶然に服に縫い込んであるメッセージを見付けてしまうんですね。
それによって、彼が言葉で表せないけれど、彼の本質は愛であることが分かったのです。
どうです?
演技力が試される映画でしょ?(そして観客の理解力も。(^^)/)
ダニエル・デイ・ルイスが期待を裏切らない演技を見せ付けます。
相手のヴィッキー・クリープスという女優も適役で頑張った。
でも、一番の演技力で観客の印象をかっさらっていったのが、姉を演じたレスリー・マンヴィルというイギリス人女優。
表情ひとつで難しい演技をさらっとやってのけている。
ルイスもイギリス人。
残念ですが、彼はこの映画を最後に引退するそうです。
万人受けする映画ではありませんが、トップクラスの映画であることはぼくが太鼓判を押します。
★★★★★