西郷隆盛とは(その3) | so what(だから何なんだ)

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・・・・・・・っということで、西郷は場面場面で異なった人間性を発揮します。

基本的には善人で、あの頃には珍しく人間平等の思想を持っていました。

男尊女卑、格差社会丸出しの薩摩藩にあって、これは驚異的な思想と言えるでしょう。

喧嘩の仲裁やら、農民を助けたり、困った人に手を貸したり、はたまた犬も平等に扱い、うなぎを食べさせたなんて逸話には事欠きません。

しかしながら、彼の居場所は軍の指揮官でした。

その立場では当然のことながら、部下を死地に追いやる役割を果たさなくてはなりません。

彼の場合、それをいやいや行ったというより、好んで死なせたことが特異な点です。

彼は、「短刀一本あればことが済み申す」とか、「いまだ戦争が足り申さん」とか、「皆死ね」なんて平気で発言しています。

あの時代の武士であったことを差し引いても、単に善い人ではなかったようです。

逆にぼくはダークサイドに片足を踏み込んだ、冷酷な人間であったような気がしています。

NHKの「西郷どん」を演じている誰だっけ??観ていないんですゴメン。

鈴木亮平君は好青年は演じられるけれど、西郷のダークサイドが演じられるのか、はなはだ疑問であります。

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それでも西郷を評価すべきは、戦争を必要悪と捉えていたことではないでしょうか。

その点では、坂本竜馬と大きく異なっていた部分です。

江戸といわず、鎌倉時代から日本はずっと武士の社会が続いていました。

この長い時代を超えて新しい社会を築くには「血」が不可欠だと知っていたのです。

そういう面では、超リアリストだったと思うのです。

外国勢力の脅威の下で、日本人同士が殺しあってどうするんだ?というのは後付の感覚です。

いくら政権が心もとないといっても、相手は軍事力を基礎に置く集団です。

その武装集団を倒すには、残念ながら暴力以外にはないのです。

当然ながら、血気盛んな連中は武力闘争に走ります。

しかし、そんな中にあって、必要最小限の流血でことを済ませようというプランを持っていたのは、実は西郷一人ではなかったでしょうか。

ハードランディングは避けられないけれど、最低限の被害で着陸させようとするのですから。

その冷徹さにおいて舌を巻かざるを得ません。


・・・・・つづく。