普通の家族って(のぞみ5歳) | so what(だから何なんだ)

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人生のバックパッカーのブログです。
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そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・・っということで、家族とは何かを考えさせられました。

 

【のぞみ5歳】という30年前にNHKが製作したドキュメンタリー番組です。

 

全盲の夫婦が子供を育てる物語です。

 

健常者である視聴者は疑問を持ちます。

 

二人とも見えないのに、何で結婚したの?

 

両親がそんな状態なのに、何で子供を産んだの?

 

そんな両親を持った子供が可愛そうじゃないの?

 

そんな疑問を背景に、淡々と家族の生活をカメラは追います。

 

なんといってものぞみちゃん(のんちゃん)が可愛い。

 

両親の障害をごく自然に受け入れている。

 

自分が親の助けにならなきゃいけないなんて気負いが全く見られない。

 

ぼくのようなひねくれ者は、子供は盲導犬じゃないんだぞと批判するかも知れない。

 

一緒の時間が長くなる母親は、正直にそういう忸怩たる思いを語ります。

 

映像はスーパーで牛乳を買うシーンを映します。

 

のんちゃんがオレンジジュースが好きなのでそちらに手を伸ばしますが、「白いほうよ」と嗜めます。

 

そこで視聴者は初めて気付きます。

 

ジュースも牛乳も同じパッケージだから目が見えないと判別できないんだ・・・と。

 

場面は変わり沢山のコップにジュースを注ぎ分けるシーンが出てきます。

 

母親はジュースを注ぎながら、のんちゃんにストップと言ってと頼みます。

 

しかし、念のために母親はこぼれないように人差し指をコップの淵に置いています。

 

のんちゃんはストップする役目のほうは適当に、親と同じようにコップの中に指を突っ込んで指に付いたジュースを舐めます。

 

母親は見えないはずなのに、ちゃんとそれを知っていて、ダメよと言います。

 

実に何気ないシーンですが、子供がちゃっかり(文字通り)親の目を盗んでいるのです。

 

カメラはそんな些細なシーンを丁寧に積み重ねていきます。

 

幼稚園で配られたカルタで遊ぶには点字が必要なこと。

 

何で自分のカルタだけ他の友達と違うのか、親の代わりに自分が先生に説明すると言うのんちゃん。

 

子供を抱いて遊んでいるとき、下にあるイスが見えずにのんちゃんの頭をぶつけてしまい、しまったという表情をする母親。

 

赤ん坊が何故泣くのが判らずオロオロしていると、電灯を点けると泣き止んだので、そのときようやく「目の見える家族が出来たんだ」と実感したとしみじみと語る父親。

 

母親の実家に帰省するシーンで、両親が結婚に反対していたことが分かります。

 

唯一結婚に賛成してくれたおばあさんのお墓にお参りする家族をカメラは追います。

 

次第に視聴者は理解するようになります。

 

身障者が普通に家族を持って生活することは、何も特別なことじゃないんだと。

 

特別視するのは、実は健常者側なのだと。

 

父親が生まれ育った海岸の村のシーンに移ります。

 

父親は子供の頃、積極的に祭りなどに参加して、健常者と同じ生活を送ってきたことを語ります。

 

その後、養護学校に入学すると、木に登って遊んでいると酷く叱られ、なんで村で普通にやっていたことをここでは禁止されるのか分からなかったと言います。

 

・・・・・・・

 

夫婦は結婚生活を始める判断をするとき迷ったと正直に語ります。

 

やっていけるのかと。

 

しかし、他の選択肢は考えられなかった。

 

お互い好き同士が結婚する。

 

結婚したら子供が出来る。

 

子供が出来たら一生懸命育てる。

 

それらを、自分たちはごく普通のこととしてやってきたのだと。

 

そう、ごく普通なことなんです。

 

・・・・・・・

 

場面はとても印象的な出来事に移ります。

 

のんちゃんが大泣きするのです。

 

普段は温厚な父親が、見ているほうがやりすぎだと感じられるほど叱ります。

 

友達に意地悪したからです。

 

なかなかのんちゃんは謝りません。

 

母親に助けを求めますが、母親も突っぱねます。

 

私が好きなお父さんに謝れないなら、のんちゃんも他の好きな人のところに行けば良いと家を出て行ってしまいます。

 

もちろん母親を追いかけます。

 

ついに母親に追いついて、母親に抱きかかえられます。

 

母親がのんちゃんの靴下の泥をポンポンと払います。

 

どうして両親はこんなに叱ったのだろう?

 

彼らはこれまでに他人からどれほど意地悪されてきたかをこのとき気付かされるのです。

 

・・・・・・・

 

映像は川辺を満面の笑みで駆け寄ってくるのんちゃんをスローモーションで映します。

 

もちろんその先には待ち構える両親がいます。

 

そこで、番組が終わります。

 

ドキュメンタリーはあくまで作り物ではありません。

 

登場人物は誰も演技をしていません。

 

しかし、どういうシーンをつなぎ合わせてどういうメッセージを伝えるか、そこには製作者の意図が強く出てきます。

 

この番組を制作するのに5年かかっています。

 

下手な映画を何本も見るより、このドキュメンタリー一本見たほうが良いとさえ思います。

 

ドキュメンタリーが持つ力を見せ付けられました。

 

・・・・・・・

 

そこで誰もが気になるのが、30年後の家族はどうなっているかということでしょう。

 

一枚の集合写真が映ります。

 

真ん中に夫婦。

 

真っ白になったお父さんの髪が特に目立ちます。

 

左には35歳になったのんちゃん。

 

旦那さんと並んで、赤ん坊を抱えています。

 

右側には番組のあとに生まれた妹夫婦。

 

普通どころか、誰もが幸せに満たされた笑顔を見せる三家族に成長していました。