・・・・・・・っということで、診察室の前で待っていると、奥さん登場。
旦那さんが認知症なんだと一方的に話しかけてくる。
1年前に突然発症し、家の中を昼夜かまわず徘徊するから目が離せないという。
外で徘徊しないだけマシだという。
夜勝手に風呂に入ったり、料理を作り出したりするらしい。
不規則な生活を強いられ、心も体もボロボロだという。
今日はデイサービスが来ているので、夫の代わりに薬だけ取りに来たのだとのこと。
事務職を59歳で定年になるまで勤め上げ、定年後は一切の職に就かず家でゴロゴロしていたらしい。
頭がよく、真面目な性格。
それが、15年後に認知症が突然訪れた。
時には意思疎通が可能なことがあるが、突然不可解な言動を取り始めコミュニケーションが成り立たなくなる。
心身ともに疲れ果て、この世から消えたいと願っているそうだ。
何かの事故に遭って突然死にたいそうだ。
子供は三人、そのうちの二人はアメリカとイギリスに定住、残りの一人は事業を興したため手が空かない。
彼女一人でケアする以外ないとのこと。
ここまで一気にまくし立てた。
・・・・・・・
ぼくが、そういう人を受け入れる施設がありますよと言うと、マンションのローン毎月15万円が残っているので入所させるお金がないという。
夫も彼女も76歳。
自分も坐骨神経痛が酷くなって、介護も難しくなっていくだろうと言う。
・・・・・・・
どう思います?
80歳までのローンを組ませた銀行に問題があると思いませんか?
定年後は年金しか収入がないんですよ。
いまはそういうローンは勧めないそうですが、当時はそういう営業をしていたそうです。
それって犯罪行為だと思いませんか?
・・・・・・・
話には聞いていたけれど、実際にこういう風に直接当事者から聞くのとは大違い。
世の中に悲劇はざらにあるのだなぁ~~~って。
救いといえば、彼女が若いこと。
とても76歳には見えず、歳を聞いても信じられなかった。
これからもこんな風に相手が誰でも構わず、どんどん自分の悩みをぶちまけて欲しい。
分かれるときにガンバって・・・っと、ありきたりの言葉しかかけられなかった。