アレクサンドロス大王 | so what(だから何なんだ)

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68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・っということで、アレクサンドロス大王の名前はだれでも知っているけれど、大遠征をした人くらいしか知らないですよね。

ちょっと歴史に興味のある人なら、(アケメネス朝)ペルシャのダレイオスを打ち破って、インドの西まで達したマケドニア王。

各地に自分の名前を冠したアレキサンドリアという都市を建設したことくらいかな?

映画の【アレクサンダー】を観た人なら、ホモセクシュアルでマザコンだったらしという印象が強いですよね。^m^

彼は英雄として分類されていますので、彼個人の功績や人物像についての本は沢山出ています。

読み物としては面白いでしょうが、彼は紀元前3世紀の人ですよ。

正確な人物像なんて描ける訳がないでしょう?

ぼくはそういう面には興味を失う歳になってしまいました。

それよりも、なぜ遠征に継ぐ遠征で西はエジプト、東はインドまで帝国(?)を広げようとしたのか。

その無謀ともいえるエネルギーはどこから来ているのか?

そちらのほうが絶対知りたいですよね。

(1)なぜインドの西まで達したのか?

実際はインドそのものを征服するつもりだったようですが、部下の反対(反乱に近い)によって、遠征は中止されます。

部下の大部分はマケドニアに帰りましたが、彼自身はバビロンに残って、その地で死にます。

常識で考えて、マケドニア(ギリシャのデロス同盟の国も含む)という小国がこれほど広い土地を征服して維持するなど無謀な考えでしょう。

ぼくは「安全保障」にあると考えます。

ギリシャにとってペルシャは常に驚異であり続けました。

実際紀元前4世紀にはペルシャ戦争として知られるクセルクセスの侵攻は有名ですよね。

テルモピュライの戦いとか、サラミスの海戦なんか映画にもなっていますね。

アレクサンドロスはこのペルシャの脅威を根本的に取り除こうとしたに違いありません。

その証拠に、ダレイオスを執拗に追い詰めて死に至らしめています。

完全にペルシャの息の根を止めようとする執念を感じます。

ペルシャを倒すだけではなく、ペルシャが支配していた地域全体を統治しようとしていました。

残念ながら、部下には彼の意図が上手く伝わっていなかったようです。

故郷から遠く離れてしまい、ホームシックにかかってしまったのですが、彼らにとって征服=略奪品を持ち帰るという動機しかなかったのでしょう。

マケドニア軍の決定的な反抗がアレクサンドロスの最大の挫折原因となったのです。

(2)広大になった国土をどうやって治めるつもりだったのか?

絶対的に数の少ない占領軍だけでは維持が不可能だったはずです。

アレクサンドロスが考えたのが、アケメネス朝の統治機構をそのまま温存することでした。

そのためには、ペルシャ人を味方につけなければなりません。

彼のやった手法は結婚によって同化することです。

彼自身ペルシャの姫を后に迎え、部下たちにもそれを勧めます。

しかし、行政の改革は行わず、アレクサンドロス個人が重用する人物を総督に送り込んだことが脆さの原因となりました。

しかも、イラン人貴族による徴税を継続させたのです。

征服された民衆にとってはアケメネス朝時代となんら変わりがない。

帝国が継続するはずがないですよね。

(3)アレクサンドロスは思慮の浅い人間だったのか?

彼は32歳の若さで亡くなっています。

まさしく、太く短く生きた人間ですね。

確かに若者に特有の無鉄砲さは持っていたと思います。

しかし、これだけ連戦連勝するだけの技量を持った人間が馬鹿であるはずがありません。

ぼくは、彼は時代の先を行き過ぎて、時代が彼に追いつけなかったと思うのです。

征服の基本的性格は略奪行為そのもので、農民の犠牲の上に成り立っていました。

それは、補給に頼ることは出来なかったからです。

略奪は次の戦争のための必要条件であり、征服した土地を利用し監督するために植民地が必要となったのです。

軍事的目的が最優先で、統治に関しては二の次にならざるを得なかったのです。


彼の功績はヘレニズム文化とオリエント文化を融合させたことだと評価されています。

しかし、それは結果であって、彼がそんなことを念頭において行動したはずがありません。

ぼくは、ヘレニズムを広めたということより、逆にオリエント文化の影響を受けたほうを重視したいと思います。

それは、約900年後に起こるイスラム教のササン朝ペルシャ遠征で、ペルシャ文明がイスラムへ影響を与えた、その共通性を見るからです。

しかし、翻訳本は読みにくい。(>_<)