・・・・・・っということで、オフクロは株が趣味である。
もう30年以上のキャリアがある。
ガチガチの公務員であったオヤジとちがって、オフクロには商売人の血が流れているようで、株ではかなり儲けている。
まあ、時々大損はするけれど、トータルで見るとかなりのプラスのようだ。
オヤジが元気なころは株で儲けたお金で二人して世界中を旅行していたものだ。
最近の大幅な株高で、もう有頂天である。
毎日3回放送されるTVの株価情報を食い入るように見ている。
だけれどもTVだけじゃやはり物足りないらしい。
リアルタイムで保有株の動向を知りたいという気持ちはよく分かる。
以前からパソコンをほしがっていた。
なぜか、オヤジが大反対で、パソコンを買う機会を逸していた。
反対する理由は、オフクロが自分より上に行くのが嫌なだけだ。
オヤジとはそんな男である。
オヤジが老人ホームに入所してしまったので、反対する人間がいなくなった。
ぼくは賛成だったので、タッチパネル式のパソコンを勧めていた。
買うときは相談に乗るからといっていたのに、ぼくが旅行中に勝手に買ってしまっていた。
それも手のひらサイズのタッチパッド。
老眼で細かい字が見えないくせに、手が震えるのでとてもじゃないが使える代物じゃない。
案の定、小さな電源ボタンさえ押せない。
電気屋でE-MOBILEのモデムとセットで売りつけられたようだ。
使い方が分からなければ電話でどんな質問でも受けますといわれたそうだが、パソコンを一度も触ったことのない84歳のオバアサンが、質問さえも出来ないことはわかりきったことだろう。
案の定、ぼくが行くまでスイッチさえ入れられない状態だった。
ダメもとで、モデムの使い方、スイッチの入れ方、Googleへのアクセス方法、株価情報のサイト、銘柄の検索の仕方を一通り手ほどきした。
画面が小さすぎて見えない上、指先が震えるので余計なキーに触れてしまう。
そのたびにバックスペースのキーを押すのだが、これも震えて出来ない。
オフクロの手が震える一部始終を電気屋の店員は見ていたはずだ。
せめて、大きなタッチパネルのを勧めるべきだ。
ルーターモデムだって、外で使うわけじゃないので、普通のADSLを勧めるのが良心的であるはずだ。
客が使えないことが分かっていながら、売りつける商法に腹が立つ。
・・・・・・
結局、タッチバッド式は諦めて、大きなノート型を買ってやることにした。
株しか見ないのだから、画面いっぱいに見たい銘柄のボタンを並べておけば、最低限の情報は得られるだろう。