・・・・・・っということで、ヨーロッパは石の文化だ。
建物はもちろん、橋だろうが、城壁だろうが、道路だろうが全部石でできている。
凸凹の歩道を歩きながら、何でこんなに石ばかり使うんだろう?
歩きにくいったらありゃしない、と感じない日本人はいないだろう。
ましてや、キャリーバッグをゴロゴロ引っ張っている身にしてみれば、もっとスムーズなアスファルトとか、コンクリート舗装にしないんだろうと恨み節でもひねりたくなる。
こんなに石を使う理由は簡単だ。
それは、ヨーロッパには石が豊富にあるということだ。
イギリスには少ないので、粘土を焼いたレンガになるだけのことだ。
日本では石の家なんて考えも及ばない。
一番豊富な木材を使うに決まっている。
・・・・・・
そこで、何でもかんでも石で造形する文化の国で「Mason」の需要はとてつもなく大きいと考えざるを得ない。
「Mason」とは日本語で「石工」のことだ。
日本に石工という職業がどれほど占めるのか知らない。
「タイル工」くらいだろうか。
せいぜい「左官」がいいところか。
どちらにしても、勢力(?)は弱いと断定していいだろう。
・・・・・・
ところが、昔のヨーロッパでは石工のは引っ張りだこだったはずだ。
当然、それに従事する人間の職業全体に占める割合は大きかったはずだ。
たぶん、ナンバーワンだったのじゃなかろうか。
一人前の石工になるには、修行が必要だっただろう。
棟梁(マイスター)のもとにたくさんの石工が集まったことだろう。
そして、その数は一大勢力になったはずだ。
当然、政治的な発言権も強かったに違いない。
・・・・・・
ここで賢明な読者諸氏は既にお気付きであろうが、「フリーメーソン」である。
FreeなMasonという意味である。
それは、封建社会において、移動が厳しく禁じられていた世界で唯一、Masonだけは自由に各地を移動できたのだ。
これは、ぼくのかじりかけの知識で話している。
でも、実際にヨーロッパに来て、この石の文化を目の当たりにして、石工の存在が如何に大きいものだったのか、実感を持って身に迫ってくるのです。
その実感を持って、初めてフリーメーソンの意味が分かってくるのです。