・・・・・・っということで、やって来ましたカリブ海の島。
誰もが一度は行ってみたい謎の国。
サラリーマン最後の出張先に、この国がなることを誰が予想し得たであろうか?ナンテ。
先ず入国するにはVISAじゃなくてツーリストカードが必要となる。
ネットで調べるといろんな情報が飛び交っているが、東麻布の領事館に写真とパスポートとお金を持っていけば、日本人受付がいてその場で発行してくれる。
あと、海外旅行者保険の付保証明が、しかもアメリカの保険会社はダメなんて書かれていたけど、一切チェックなし。
入国審査官も片言の日本語を操って、フレンドリーそのもの。
税関も保健局も、日本人だと分かると何も調べずにパス。
あっけないほど早くイミグレーションを出られる。
大震災の同情票かな?
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ただ飛行機がメンドウだ。
日本からの直行便がない上、アメリカから経由していくわけに行かない。
アメリカがイジワルしているからだ。
カナダ経由が一般的らしい。
今回ぼくが使ったのはCOPA航空で、パナマ経由だ。
季節にもよるのかもしれないが、客室はガラガラだった。
空いているのはいいのだけれど、冷房が異常なくらい効きすぎていて、冷凍肉の気持ちが良く分かった。
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イミグレーションを出ると両替をしなくちゃならん。
ここでもドルの交換レートは著しく悪い。
大雑把に1ペソ=100円と覚えておこう。
ただし円の両替は扱っていない。
驚くなかれ両替されるペソは「兌換ペソ」。
要するに外国人しか使えない通貨なのである。
むかし中国でやっていた「兌換券」と同じシステムなのだ。
コレほどまでして外貨を稼がねばならんのである。
庶民が使う本物のペソは1/25くらいだったかな?
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さて、タクシーの運転手が直接売り込みにくるのは無視して、いかにもオフィシャルの案内風の人に行き先の地図を渡すと、すぐタクシーまで案内してくれた。
市内まで一律25ペソ。値段交渉はナシ。
さて、ここまでくれば安心、あとはホテルまで運ちゃんが連れて行ってくれるハズ。
・・・ハズだ。
だが、ここから迷走が始まる。
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走り出したのはいいが、タクシードライバーはいつまで経っても地図とにらめっこしている。
しかも猛スピードで運転しながらだ。
地図を色々回転させたり、一心不乱だ。
こっちは安心して乗っていられない。
今回ぼくが予約したホテルは、高級では全くない。
高級ホテルはいっぱいあるが、敢えてぼくのこだわりを優先させた。
旧市街の中心にあって、いかにも庶民的なホテル。
そう、安ホテルだっ!
安ホテルといっても、清潔でなきゃならん。
インターネットの口コミサイトでイッパツで気に入ったホテルを見つけた。
建物は古いがオーナーは英語が話せフレンドリー、港を臨むバルコニー付き、シャワーもトイレも付いていて一泊40ペソだ。
ぼくの理想にピッタリはまった。
唯一の不安要素は日本人の口コミが全くないことだった。
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タクシーは夕闇迫る市街をバンバン他車を追い越しながら、旧市街に向け爆走する。
ホテルの位置の見当が付いたらしい。
もう安心だ。他の車を観察する余裕も出てきた。
というのも、この国はクラッシックカーが現役で走っていると知っていたからだ。
確かに50~60年代に造られたと思しきアメ車も多く走っている。
だけれどもそれは少数派だ。
中古車であるが、いろんな国籍の車がフツーに走っている。
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さて、日もとっぷりと暮れ、タクシーは旧市街に到着した。
首都にしては暗い。
全体的に街は薄暗い。
その薄暗い狭い路地をタクシーはあちこち迷走し始めた。
ヤッパリ分かっていないのだ。
そして人気のない路地裏に車は止まった。
運転手はここだという。
恐る恐る車外に出て、ホテルの看板を探す。
ない。
そもそもこんなところにホテルがあるはずがない。
運転手はスペイン語のみで英語全く分からず。
だが、身振りで地図の番地のとおりだと主張する。
超古いエレベータはあったが、だいいち人が住む気配がしない。
うす暗い路地に座り込んでいる若者の集団がいたので、運転手にホテルの場所を聞いてみろといったが、間違いなくここだとの一点張りである。
仕方なくぼくが連中に聞いてみたが、番地は間違っていないようだ。
そら見ろといったような表情の運転手。
でも、ここで金を払って降りたら、ホテルどころか集団強盗のいい餌食だ。
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でも、察するんですねぇ~、言葉が分からなくても。
運転手の知り合いに小奇麗な部屋を貸しているのがいて、そこでもいいかと聞くので、とにかく連れて行ってもらうことに。
タクシーはぼくの思い描いていた旧市街からどんどん離れていく。
あぁ~あ。
この際、泊まることができれば高級ホテルでもイイヤと、妥協の気持ちが心に芽生える。
そしてタクシーはとあるビルの向かいに止まった。
どう観てもホテルじゃない。
もちろん看板も出ていない。
雑居ビルといっていいだろう。
やたらと人の出入りがある。
2台あるエレベータの前で待つ。
この人たちの中でぼくは異質だ。
皆の視線を感じる。
信じられないくらいエレベータが来ない。
しかも稼動しているのは1台だけだと気付く。
荷物を持ったままじっと待つ。
7階で降りた。
絶対にホテルじゃない。
運転手に続いて歩きながら、コリャァ~着いた先の部屋で、間抜けな日本人を監禁しようと待ち構えているぞと、本気で思った。
そういや、さっき運転中に携帯でなにやら打ち合わせていたもんなぁ。
廊下の角を3回曲がって突き当たりの部屋に着いた。
白いランニングと短パン姿の図体のでかいオッサンがのそぉ~っとどこからか現れた。
鍵の束をチャラチャラいわせている。
隣には若い中学生くらいの男の子が付き添っている。
その男の子と運転手はなにやら会話を始めたが、サッパリ分からず。
最初のドアを開けるとまた2つドアがあり、片方のドアを鍵をガチャガチャいわせながら開けるとベッドが置いてあった。
ようやくここで、アパートの一室であることが分かった。
大家さんは隣に住んでいて、2部屋を人に貸しているのだと気付くのに相当な時間を要してしまった。
冴えない部屋だが、不潔じゃないことだけは判明したので、泊まることにした。
冷蔵庫、エアコン、シャワー、トイレ、TV、セーフティーボックスなど一応、
一応ね、
揃っていて、長期滞在向けであることは一目で分かった。
目論んでいた情緒は一切ないが、2泊するだけなので我慢することに。
オーナーのオッサン片言の英語しか話さないうえに、説明がやたら長くて細かい。
1泊40ペソ。
また、書類作りに長々と時間を掛けている。
もう早く一人にしてくれという気持ち。
そこで、運転手がまだいることを思い出し、5ペソ多い30ペソを渡す。
よく顔を見ると、善良そうな好青年であったことにようやく気付く。
途中、別の青年が突如登場し、1日35ペソで観光案内をしてくれるという。
英語はペラペラであった。
気持ちは動いたが、丁重にお引取り願った。
オーナーはなにかゲイっぽい雰囲気だが、とてもいい人らしい。
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問題は、シャワーの水がちょろちょろとしかでないこと。
お湯なんか蛇口に書いてあるだけで全くの気休め。
便器にどういうわけか便座が付いていない。
エアコンが起動するたびにスッゲェ~音がする。
そのために眠りが妨げられ、こうやって長々と文章を書くはめに・・・・
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結局後から知ったのだが、ここの安ホテルは看板を出さないのだそうだ。
実際に予約したホテルに着いたのに、指定されたフロアに上がることを知らなかっただけらしい。
確かに、高級ホテルは快適だが、こういう迷子になってどこに泊まればいいのか不安になることが旅の醍醐味なのだ。
そういう意味においては、とても楽しい到着初日であった。
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