【ハリガネムシ】 | so what(だから何なんだ)

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・・・・・・・っということで、第129回芥川賞(2003年上半期)作品。

吉村 萬壱
文藝春秋
発売日:2003-08

人間は誰でも心の中にどす黒い感情を持っているものである。
それをこの作者はハリガネムシと形容しているのだが、上手いと思う。
他人の読書感想文を読んでいると、グロいとか、エロいとか、エグいとか表現しているが、ぼくにはそれほどには感じなかった。

逆に、作者が思いっきり空想を広げて書いているのがいじらしく思う程度だ。

テーマは転落で間違いないだろうが、それだけでは薄すぎる。

どの感想文にも触れられていなかったのだが、作者がこの小説を書く動機となったのは、某思想家の以下の言葉だったはずだ。
文中、2回も出て来る。
「人はいかにして本来のおのれになるか」

「良心の呵責というものは、わたしには真実を歪ませる一種の【魔女の目】であるように思われる。自分のある行為が失敗した場合、失敗したからこそ、なおさらその行為に対して敬意を持ち続けるーこのほうがわたしの道徳律にかなうのである。」

これが一箇所目。

二箇所目が次の短縮表現。

「いかなる失敗事に対しても、最大の敬意を払うべし」

これをこの小説で表現したかったのじゃないだろうか。

さて、皆さんは作者のこの意図は成功したと思うでしょうか?