・・・・・・・っということで、高校生の頃犬を飼っていた。
白い雑種のオスで、どーしようもない駄犬であった。
鼻の峯の部分の毛が立っていたので、テリアと柴犬との混血との触れ込みだったが、もう何代も前からの純粋な雑種犬だったはずだ。
片方の耳だけ立っていて、もう一方は垂れたままだった。これは大人になっても変わらなかった。
気が小さいくせに、向こうっ気だけは強かった。
よく鎖を切って、大型犬に突進して行った。
突進するまではいいのだが、すぐに組み敷かれてしまい、キャインと情けない声を上げて、尻尾を丸めてスゴスゴと帰ってきた。
よく首輪を引きちぎるものだから、小型犬にも拘らず、やたら大きな首輪を付けねばならなかった。
ならば、番犬に適していたかというとそうではなく、庭に入ってきたぼくの友人を初めて見て、吠え付くどころか一目散に犬小屋に隠れてしまった。
本物の泥棒が侵入したら、同じ行動を取っただろう。
まったく情けない犬であった。
子犬の頃、初めて散歩に連れて行ったときなんか酷かった。
普通、犬は散歩が大好きだと思うだろうが、山に連れて行き広いところで放してやったら、そのままご主人を置いたまま、自宅に向かって走り去っていったのだ。
呼び止めても、振り返りもしなかった。
結局、彼は道に迷ってしまい、あちこち探し回ったのだが、結局見つからず、自宅で心配していた。
しばらく経って犬の鳴き声がするので、そちらに行ってみたら崖の上で動きが取れなくなっている彼を発見したのである。
ことほど左様に方向音痴で内弁慶の犬であった。
・・・・・・
まあ、しばらくすると今度は散歩に連れて行けとうるさくなったのだが。
散歩の「ポ」の音に敏感に反応するので、終いには散歩と言わずに「ポ」と言っただけで目を輝かすようになった。