・・・・・・・っということで、駅や街の雑踏を歩く多くの人々。
彼らとすれ違うたびに思う。
一人ひとりがリアルな人間なのだと。
ぼくの目には映像としか映らないが、
それぞれに、
それぞれの人生を抱えている。
帰る家があり、人間関係があり、悩みがあり、思い出がある。
だって人間なのだから。
でも、そう考えると疲れる。
単なる記号と考えたほうが楽だ。
記号の中でも、ゼロと考えるのがいい。
ゼロなら、自分に関係が無い。
男だって女だって、不潔だって、美人だって、自分に害を及ぼさなければゼロだ。
電車で大股広げ座席を占領しているガキも、
列に割り込むババアも、
やたらトロいレジ係も、
元をただせばゼロだ。
ぼくに危害を与えようとしている者だけがマイナスだ。
マイナスじゃなければ放っておけばいい。
イライラすることはない。
こうしてぼくはゼロという記号の集団に囲まれている。
この中からプラス記号を見つけるなんて、至難の業。
期待するだけ無駄だ。