・・・・・・・っということで、丹沢でヘリコプターが落ち、パイロットが死亡し、整備士が重傷を負った。
これでも一応パイロットのライセンスを持っているので、こういう事故が起きるたびに心が痛む。
事故原因は吊り下げていたスリングワイヤーがテールローターに当たりローターをふっ飛ばしたようだ。
今回は決定的な写真があるので、これは間違いないだろう。
AS350はフランスのベストセラー機で、テールローターが破壊された場合、機体は反時計回りに回転しだす。
右ペダルを踏んで修正しようとしても効かないなら、パイロットはテールローターロスと判断する。
事故機のパイロットの交信記録や整備士の証言によると、後部で異音がしたため、パイロットは緊急着陸を判断したらしい。
目撃者の証言によると、ヘリコプターは回転しながら墜落していったという。
テールローターロスの場合もちゃんと訓練する。
テールローターが効かない状態で、着陸するために速度と高度を下げていくと、反時計回りの回転はさらに速くなる。
それは、メインローターのピッチを上げていくと、反トルクが増すからである。
テールローターはこの反トルクを打ち消すための装置であるが、これが効かないからだ。
・・・・・・・
テールローターロスの場合の正しい処置は、オートローテーションに入れることである。
(オートローテーションとは、メインローターとエンジンの連結を切って、メインローターを自由回転させ、機体を滑空降下させるマニューバである。)
この場合、メインローターのトルクが発生しないので、機体は大きく回転せずに飛行することが出来る。
ただし、これには条件があって、ある程度の前進速度が必要なのである。
現場は山岳地帯で着陸するスペースはほとんどないか、限られたものであったはずだ。
このような状況でオートローテーションによる着陸を強行することは、神業的な技術を要する。
事故原因の詳しい報告がないときに勝手な推測はタブーだが、
一つの仮定として回避方法を考えてみよう。
機体の損傷具合によるが、垂直尾翼が損傷せずに残っていれば、機体の速度を上げれば機体は尾翼の効果で回転せずに飛行できる。
燃料の残量が十分であれば、山岳地帯から平地に逃れることが可能だ。
それが可能なら、平地に移ったあと、無線により地上から機体の損傷具合を観察することを依頼できる。
もし、テールブームまで破壊されていないようなら、オートローテンション時の機体の(右への)偏向もそれほどではないと判断できる。
テールローターロスの場合の着陸は、平地であったとしても相当むつかしい技術が要求される。
オートローテンション最後の段階でフレアをかけた場合、機体は右へ大きく旋回するからだ。
それを防ぐために直前にスロットルを開き、メインローターとエンジンのエンゲージを回復させ、生じたトルクにより左に修正することが出来る。
これは難しい。
だから一発でやろうとせず、何回も練習すればいいのだ。
これは、燃料がある限り練習可能なのだ。
もう一つ、残燃料を減らすという意味もある。
燃料タンクが空に近いほど、着陸に失敗したときの出火が防げるからだ。
(今回は、墜落後に出火している。)
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以上はあくまで、ある条件下での仮定であるが、
もし、そういうことが可能な状況であったのなら、パイロットはそうすべきであった。
悲しいことに、人間というものは早く地上に降りたくなるのである。
写真ではテールロータの一部が飛んでいるので、機体は異常振動していたはずだ。
後方で異音がしたとの整備士の証言を待つまでもなく、パイロットはテールローターに原因があったと気付いていたはずである。
実は、スリングワイヤーをテールに引っ掛ける事故は、しょっちゅう起きているのだ。
ヘリコプターのパイロットならみんな知っていることだ。
異常が起きたときに機体の速度を上げるというのは、実に勇気のいることである。
速度がそもそも遅かった可能性のほうが高いだろう。
そして、たぶん高度も低かったのだろう。
速度を上げる間もなく、回転しながら墜落したのだと思う。
山岳地帯での物資輸送はものすごく危険な飛行なのです。
ちゃんとその理由を列挙できますが、それは割愛します。
ただ、知ってほしいことは、ヘリコプターパイロットは命がけの職業だということです。
ものすっごぉ~~く危険な職業なのです。
エアラインパイロットより、何百倍も危険です。
それだけは知ってほしい。