・・・・・・・っということで、直木賞、芥川賞作品のまとめ読みも、めぼしいものは読みつくしたので、たぶん今回が最後の作品となるだろう。
1981年第85回直木賞受賞作品【人間万事塞翁が丙午】。
著者はあの青島幸男である。
東京都知事で晩節を汚したという印象が強いが、こんな小説を書けるほどの才能があったのだと、今更ながらに驚いた。
戦前戦後の江戸庶民の暮らしが生き生きと描かれている。
自分の母親がベースだとすぐ分かる。
語り口はなんだか講談調でユーモアに溢れているが、言葉の選び方は只者じゃない。
たくさん本を読んだだろうことは容易に想像できる。
いい加減に見える登場人物の悩み、葛藤、心遣いなどの描写も巧みだ。
本作が彼の書いた最初で最後の小説らしいのだが、政治なんかに首を突っ込まず、もっと小説を書いて欲しかった。