・・・・・・・っということで、ぼくの苦手なテーマを扱ってみようかという気分になった。
彼には一年近く、同棲までは至らずとも、親密に付き合っていた彼女が居た。
女性は20代後半で、わざわざ四捨五入せずとも充分30歳に近かった。
彼女は彼と結婚したいという強い願望を持っていた。
もちろん彼は、彼女の気持ちを知っていた。
「結婚してぇ~」というリアルな要求が彼女の口から出ないのをいいことに、
ダラダラと恋人関係を続けていた。
そう、よくある話。
・・・・・・
この場合の男の心理を考えてみよう。
男というものは、自分は「モテる男」だと信じたい生き物である。
でも世の中、モテない男の数の方が圧倒的に多い。
そういう男は、モテないのは、女に「男を見る目」がないからだ、
・・・と、自分を納得させている場合が殆どだ。
そうはいっても、彼女がゼロという状態が長く続くことには、とても耐えられない。
世間体が悪いからだ。
この場合の世間体とは、男同士の世界に限った世間だ。
男の世間では、彼女が居ないというのはカタワと見られ、
腹を割って話せる友人の数が極端に減ってしまう。
こういう男は、からかわれる材料を一方的に仲間に提供する哀れな役割を甘受するか、
モテない者同志でチマチマ友情を育むしかない。
(まあ、女の世界も同じだとは思うが。)
いきおい、無理をしてでも彼女を作ることになる。
ステディーな彼女が出来れば一安心。
可能ならば複数確保したいなんて大それたことを夢想するが、だいたいにおいて失敗する。
世の中には、どうせだったら「美人の彼女が欲しい」なんて、
身のほど知らずの勘違い男も多数生息していることも事実である。
・・・・・・
さて、冒頭に上げたケースに戻るが、
そういう場合、男は結婚してもいいと考えている。
だが、「もっといい女」がいないかとの思いのほうが強いのだ。
上で説明したように、男というものは身のほど知らずなのである。
世間に「いい女だろー」と見せびらかしたいのである。
【いい女を連れている男=モテる男=いい男=ぼく】という図式、
考えてみれば、実に浅はかな起承転結を描くように男というものはできている。
DNAに刷り込まれているのだから仕方がない。
そう、あなたがいま気付いたように、付き合っている彼女は、
世間から「いい女」に見られないんじゃないかと、頭の片隅で思っているのである。
「ナァ~~んだ、アイツもこんな女と結婚したのか」
・・・っと、思われたくないのである。
それが彼に結婚を躊躇させる主な原因だったのである。
「もっとイイ女」が、明日にでも現れるのじゃないか・・・って。
そして、答えをズルズル先送りにする。
そのほうが楽だからだ。
世間体にも楽だからだ。
・・・・・・っと、今日はここまで。
つづきはない。