・・・・・・・っということで、今日読んだ本の感想文。
【ブリューゲルへの旅】
中野孝次著(1925~2004年)
文春文庫2004年5月10日発行
作者に対する予備知識ゼロで、何となく手に取った本。
何か、心に鎧をまとったような作者。
彼自身も、そんな自分の心を持て余しているようだ。
その不可解な心を解く鍵として、ブリューゲルという作品を使う。
実に、ワケの分からない手法だが、読んでいくうちに何やら納得させられる。
作者の真摯な姿勢に好感が持てる。
考え出すと誰もが憂鬱に陥ってしまう「生きる意味」、あるいは「生きる価値」というテーマ。
16世紀のフランドルに生きた画家の作品を、自分なりに解釈してそのテーマを哲学的に掘り下げていく。
結論はあるようでないようで・・・・・・
ぼくにとって、【イカロスの墜落】 が特に印象に残った。
結構有名なある人物の死でさえ、日々のひとコマでしかなく、それとは関係なく自然の風景の中で生活は続いていく。
無学な農民を好んで描いた画家は、「とりあえず生活していくだけで精一杯。生きる意味なんか考える余裕もない。」を描きながら、自然の美しさと同時に過酷さを伝えようとしているのではないかと感じる。
そこまでは作者も分かるが、その中には入れずにあくまで傍観者である自分に苛立ちを覚える。
・・・・・・・っと、こういう風な本でした。