夫婦の形(その5) | so what(だから何なんだ)

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人生のバックパッカーのブログです。
暇はあるけど体力と金と気力がない。
そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・・っということで、夫婦の形(その5)


その老夫婦は、終戦後まもなく結婚したので、かれこれ65年も一緒に暮らしていることになる。


夫には、将校だった頃の颯爽とした面影はもうとっくに無くなって、杖がないと歩けない状態である。


妻にとって嫌なことは、夫が未だに威張っていて、一寸したことに対してグチグチ言うことである。


昔は、そんな男じゃなかったのに。


正直で、真面目で、曲がったことが嫌いで、そのくせとても優しい夫であった。


だが、定年が過ぎて、することも無く家でゴロゴロする夫に我慢がならなくなってきた。


夫は公務員で、そこそこの地位まで出世したが、商才は全くといって持ち合わせていない男であった。


一方、妻の方は商人の血が濃いらしく、程なく株にのめり込んでいった。


そして、儲けた。


彼女は、年金の額よりずっと多くの収入をもたらした。


彼女が株で稼いだお金で、世界各国を旅行した。


クイーン・エリザベスで航海することもあった。


だが、もう80歳を過ぎて、海外旅行は体力的に諦めざるを得なくなった。


妻は、今でも株をやり続けているお陰か、頭は何時までもシャープだ。


夫のほうはボケてはいないが、日に日に頑固になっていく。


流石に暴力は伴わないが、毎日毎日喧嘩ばかりしている。


夫にとっての弱点は、若い頃に福岡に単身赴任していたとき、一度だけ浮気をしたことだ。


よりによって、相手は飲み屋のすれっからしだった。


それを持ち出されると、まるで切り札のジョーカーのような効果があり、黙らざるを得ないのだ。


・・・・・・・


妻は本気で思っている。


「早く夫が死んでくれないか」と。


そうすれば、ようやく自由になれる。


事実、夫が死んだ後、吹っ切れたように明るくなった友達を沢山知っている。


私が、まだ元気なうちに・・・・・・




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