・・・・・・っということで、ズゥ~っと追っかけていた仕事が受注できなかった。
受注した競争相手とは大差での第2位。
これが僅差で負けたとなると、ものすっごく悔しいが、これだけ差が付くと、サッパリした気分になる。
ザマア見ろという気になる。
入札案件は、僅差の一位がカッコイイ。
・・・・・・ってなことで、「ザンネン会」を開いた。
まあ、勝っていれば「祝勝会」で、いずれにしろ飲むことになるのだが。
・・・・・・
そこで頼んだのがこれ。
「活き鯵」
鯵の刺身が食べたかっただけで、オーダーしたときは「活」の文字の意味を深く考えなかった。
最初出てきたときは、フゥ~ンってな具合でつまんでいた。
ところが、これが口をパクパクし始めたのだ。
ゲッ・・・・・!
コリャ生きてるぜ!!
じっとぼくを見ている。
自分の「身」を食べるぼくを見ている。
じっと見ている。
恨めしそうな目で・・・・・
「活」という意味は「生きているまま切り刻んだ」という意味だったんだ!!
確かに旨い。
新鮮で旨い。
だって、さっきまで水槽で活き活き泳いでいたんだもの。
しかも、本人(?)はまだ生きている。
死んじゃいない。
目に光があるもの。
その目が、じっとぼくを見ているのだ。
これを悪趣味と言わずして何と言う?
生き物はいつか死ぬ。
でも、どうせ死ぬんだったら、アッという間に死にたい。
これは、生きているものに共通した願望のはずだ。
鯵だって、そういう希望を抱くのは当然の権利だ。
それをナンダコリャ?
死の間際に、自分の体を食べている相手を見せ付けられているのだ。
さっきまで、元気に水槽で泳いでいた若者<?>に対する、これほど残虐な行為は、誰も思いつかない。
日本の板前という人種以外は!
これは生命に対する冒涜だッ!
・・・・・・・
彼は思いがけず、長いあいだ生きていた。
もう死んだだろうなぁ~っと思って、ホッとしていたら、
急に口をパクパクさせて、残った頭部を激しく痙攣させた。
もう止めてくれよと言いたいくらい、長く痙攣させた。
ぼくは彼の黒目がちな目を正視できなかった。
・・・・・・・・
さすがの彼(彼と決め付けているが、彼女かもしれない)も、やっと大人しくなった。
ようやく安心して、(新鮮な)彼の肉体の一部を美味しく頂いた。
しつこいが、これほど新鮮な刺身はないのだから。
彼には悪いが、美味しい。
ありがとうよ、君の命はぼくがありがたく頂戴した。
そんじょそこらの、低レベルの酔っ払いに食われたのじゃなく、
君の人格(?)を認め、敬意を払う人間に食われたのだ。
だから、安心して成仏してくれ。
・・・・・・・・
っと、手を合わて拝んだ途端、
今度は、尾ひれを激しく振りはじめた。
尾ひれはまだ水の中を泳ごうとしているのだ!!
空中をむなしくもがく・・・・・
この場から逃れ、前進しようとしているのだ!!
ああ、もう止めてくれぇ~~~~~~~~~~
・・・・・・っと、心で叫びながら撮ったのがこの写真。
みなさん、彼には名前はないけれど、彼のことは忘れないでくださいね。
・・・・
でも、旨かったナ。
