筆頭株主の米投資ファンド、サーべラス・グループが保有株の売り出しを9日に撤回したことから、西武HDは当初計画の発行済み総数の約24%の売り出しを約8%程度に減らすことになる。株価の仮条件も想定から下がり、市場からの資金吸収は当初予定から7割を超える規模縮小となる。国内IPOでは、3月に東証に新規上場したジャパンディスプレ イと日立マクセル が公募価格割れとなったばかり。
みずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)出身の後藤社長(65)は、先週までアジアや欧州、米国を巡り投資家説明会を繰り返したと、事情に詳しい複数の関係者が述べた。説明会では、将来性の見込めるホテル・レジャー事業や不動産関連事業に力点が置かれたという。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「現在の相場環境では無難な上場は少し難しい」という。「いま、日本市場では個別の会社に関係なく、投資家はマーケット全体を覆う空気を感じ取ろうとしている。上場には地合いが悪い時期だ」と述べた。
西武HDの主要株主は今回の上場で、仮条件で1株当り1600円から1800円の売り出しで最大約500億円を市場から吸収する計画。3月20日に発表した当初の想定価格は2300円だった。今回は新株発行による資金調達は行わず、サーベラスを除く、日本政策投資銀行や農林中央金庫など4社が保有株式を売却する予定。今後、需要動向を探るブックビルディング期間を経て14日に正式な売り出し価格が発表され、西武HDは23日に上場する計画。