ベルリンでは、安い賃料と放棄された倉庫を背景にナイトクラブやギャラリー、アトリエなどがにぎやかに並び、欧州で最もホットな文化的メッカの一つとなっている。しかし、このドイツの首都は最近までは、新規の大型マンション建設も数えるほどしかなかった。
現在は人口350万のベルリンで高級マンションが急増している。この1年間の同部門の建設は10倍近くに増えている。この変貌は、ベルリンは貧しいアーティストの街からクリエイティブ産業の世界的首都になるとの以前からの人気のある見通しを立証している。
同地区のプロジェクトでも高級なものの一つが、シュプレー川沿いのヨー・ベルリンだ。段々型10階建てのこのマンションのファサードはベルリンの建築家アイケ・ベッカー氏の設計によるもので、内装はフランスのデザイナー、フィリプ・スタルク氏が担当した。来年末完成予定の総戸数95の同マンションは、英ロンドンのヨー社がデベロッパーと組んで37都市で設計・販売する国際的な高級住宅ネットワークの一部だ。
同マンションの角部屋ペントハウスの価格は280平方メートルで364万ユーロ(3億7000万円)。プロジェクトの広報担当者によると、既に75%が売約済みで、買い手の多くはドイツのほかイタリア、米国、中国、オーストラリアの人たちだという。マンション全体の販売総額は約1億0700万ドル(83億9000万円)。
ヨーはいわゆるウェルネスとスパ・ゾーンを提供しており、このほかバー、アトリウム(吹き抜け空間)、カフェも付いている。これらのことは、24時間のドアマンやフィットネスルーム、無料の窓掃除が最近やっと広まりだしたベルリンではあまり例がない。
その近くの、ダス・マイスターハウスとして知られるリビング・バウハウスのペントハウスは300平方メートルで700万ユーロに上る。内部はカスタムデザインで、買い手はプールや暖炉、冷却パネル付き天井、冷蔵室、ワインケラー、豪華キッチン、同バスルームなどを選択できる。夜間は建物がLED照明でライトアップされる。モンゴル大使館は来年2月、最初の入居者となる。
ミッテ地区で最も新しいプロジェクトの一つが、ウンターデンリンデン通りとシュプレー川に挟まれた場所にある総戸数64のルクス。調査会社ジョーンズ・ラング・ラサールによると、スペインの不動産会社トリプルAが建設しているしゃれたガラス構造のこのマンションの販売価格は34万9000~410万ドルで、1平方フィート(0.093平方メートル)当たりでは540~1260ドル。同地区の平均は400ドルだ。開発・建設コストが5800万ドルと推定されるこのプロジェクトは10月中の着工を予定しているが、既に55%程度が売約済みとなっている。
ルクスを販売しているニコラウス・ツィーガートによれば、全て合わせると、現在9件、総戸数260のマンションが建設中、あるいは計画段階にあり、平方フィート当たりの平均価格は600ドル(1平方メートル当たり5000ユーロ)だ。
昨年末から建設が進められているもう一つの建物が、外務省近くのクロンプリンツェンゲルテン(皇太子の庭)で、工費は1億1000万ドル。この建物には価格が40万~400万ユーロの住宅約50戸が含まれており、ペントハウスではルーフトッププールを付けることもできる。販売担当のICONインベストメントコンサルティングは75%が売約済みだとしている。完成は14年末の予定。
しかし、ベルリンの高級マンションは市場全体の3%程度しか占めていない。大方の裕福な買い手が伝統的に西部の郊外に引き付けられているベルリンが、ハイスタイルな都市生活向きになれるのかどうか疑問視する向きもある。
買い手の需要がより高級な建物に向かっている一因は、ノキア、ドイツ鉄道、バイエルといった企業が政府の拡充と時を同じくして幹部社員らをベルリンに連れてきて、より裕福なライフスタイルが一般的になりつつあることだ。不動産会社ベルリン・キャピタル・インベストメンツの国際販売部門トップ、カディン・エンリケス氏は「ベルリン市民は支出を増やそうとしている」と述べた。07年にパリからベルリンに移ってきた同氏は、当時はミッテ地区の女性はくつろいだ服装をしていたとし、「ピンヒールを履いている女性はいなかった」と述べた。だが今では「ネイルアートをしなかったり、ヒールのない靴を履いている人は見かけなくなった」としている。07年は、米国の俳優ブラッド・ピットさんとアンジェリーナ・ジョリーさんがミッテ地区にロフトを購入した、と地元メディアが報じた年でもある。