先日の記事で
〈祝之神事のルーツが、かつてエジプトの大ピラミッド内部や大スフィンクス像の前で執り行われていた秘儀にある〉
〈それだけではない。なんと、イエス・キリストとマグダラのマリアも、この秘儀を受けていたというのである。〉
(「ムー」2021年6月号「イエス・キリストと伯家神道「祝之神事」の秘儀伝授」、p. 21)
との内容を取上げ、これの文献的裏づけがまだ出来ていない旨を書いた。
その件を調査中としたが、その続報。
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「ムー」2021年6月号の記事の続きには、次のように書かれている。
〈その秘密は、『ハトホルの書—アセンションした文明からのメッセージ』(トム・ケニオン&ヴァージニア・エッセン著/紫上はとる訳/ナチュラルスピリット刊)に書かれていたと、保江氏はいう。〉(p. 22)
『ハトホルの書』には知る限りで3種類ある。次の3つだ。
1. トム・ケニオン&ヴァージニア・エッセン『ハトホルの書—アセンションした文明からのメッセージ』(ナチュラルスピリット、2003)
2. トム・ケニオン&ヴァージニア・エッセン『ハトホルの書—アセンションした文明からのメッセージ(改訂版)』(ナチュラルスピリット、2011)
3. トム・ケニオン『新・ハトホルの書—アセンションした文明からのメッセージ』(ナチュラルスピリット、2013)
このうちのどれが、上述の保江氏のいう『ハトホルの書』なのだろうか。
保江邦夫『伯家神道の祝之神事を授かった僕がなぜ ハトホルの秘儀 in ギザの大ピラミッド』(ヒカルランド、2013)
には、保江氏が2012年11月にエジプトに行き、大ピラミッドの王の間で、イエスとマグダラのマリアがそこで執り行ったハトホルの秘儀を思い出したことが記されている。(p. 206)
ということは、保江氏がその記述を読んだのは、それより前のことで、上の3冊でいうと、1と2とが可能性がある。
今回は、「ムー」2021年6月号の記述にしたがい、改訂版でないほうの2003年版を調べてみた。
結果は、この文献でも裏づけができなかった。
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ただし、同書には、興味深い記述がある。
〈当時の秘儀参入者(イニシエート)たちは、ピラミッド内部にある、特定の数学的比率で地取りされた指定場所に入りました。そのようなエネルギー生成母体に入ることで、そうでなければとうてい不可能な「大いなる宇宙」や「大いなる神秘」の知識の伝授を成し遂げることができたのです。〉(pp. 31-32)
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さらに、トートに関する記述もある。
〈V・・古代エジプトの黄金時代とは、トートの時代のことでしょうか。
そうです。トートの時代です。〉(p. 217)
[V:質問者のヴァージニア・エッセン。回答者は集合意識ハトホル]
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なお、筆者は上記の3. 『新・ハトホルの書』も手許にあるので、念のため調べてみたが、やはり、ここでも裏づけができなかった。
残る可能性としては、2. 『ハトホルの書(改訂版)』にあるか、また別の書にあるかである。引続き調査を行いたい。