養老孟司さんの書いたバカの壁は発売当時ベストセラーになったので購入しましたが、脳学者である養老さんの本は当時はよくわからなかった状態ですませてしまっていました。最近テロの拡大や世界で起きている出来事が気になっていたので昔読んだバカの壁を再読すると面白い箇所があり、勉強になりました。
参考になったところはバカの壁の前提になっているわかっているという認識の違いです。その中で常識について解説している部分はありますが、誰が考えてもそうでしょうというところは妙に納得してしまいました。人により価値観の違いがあり、わかっていることの定義は難しいのですが誰もがうなずくことは予想できるのでなるほどなと思いました。簡単ですがとても深い言葉だとおもいます。
君子豹変という言葉を解説していますが、最初は急に態度を変えて今まで行っていたことをひっくり返すことの悪さを指摘する言葉だと思っていましたが、誤っていると気付いたときにすぐに改めて正しいことをするという意味を知り、勉強になりました。現在の政治家の人は間違っていてもなかなかただすことをしないのでこの言葉にふさわしい人物がいるのか疑問に思ってしまいます。
人間は変わり続ける生き物であることも現代社会を理解するときにも役立ちます。この中でがんの告知を受けた時に去年まで見ていた桜がどう見えるのかというたとえはわかりやすい表現でした。今まで何気なく見えていたものが自分の境遇が変化したことにより、物事が違って見えてくるという意味ですがこれに近い体験をしました。
今年の夏に突然父親を亡くして葬式を体験したのですが、今までは親は永遠に生きるのかなとぼんやり思っていたことがなくなり考え方が変わりました。
特に親戚の中では両親が健在だったので親を早く亡くしたいとこのことは何となくかわいそうだなという認識でしたが、実際に自分の立場になるとこういう気持ちになっていたのかと初めて分かった気がします。
現在世界で起きている事件も遠くの事なので、報道で伝えられている情報だけで判断してしまうことは間違いをおかしやすいです。いわゆるバカの壁にさえぎられて自分で判断してしまうことは避けるべきだと思っています。
この本は今読んでも多くの事を学べる良書だと思います。