【ひとはみんなおんなじ”ヒト”】 | Live with Max.

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世の中のあらゆることは、人間関係に行きつく。
そんな視点でいろんなことを考えながら書いています。

『本当に、人を嫌な気持ちにさせることを何とも感じない人間なんですよ』


電話口で、年下の友人の加藤(仮名)が僕に疲れきった口調で漏らした。


加藤はトレーナー仲間で年に何回かお互いに情報交換や相談などのやりとりがある。


先週、僕が機能改善に関係することで、質問と近況をメールしたところ、質問の答えと一緒に、ある一人の同僚に対してのイライラが、超長文で書き綴られている。


気になり電話してみると、どうにもそりの合わない相手に、我慢の限界に達したという。


結構前から、その相手についての愚痴や出来事は、よく聞いていた。対人関係のストレスなんてよくあることだと僕は思って、あまり真剣にならず聞いていたのだが、どうやらそんな状況ではないようだ。


加藤の職場の定例会議のこと。

全員が着席した状況で、進行者が元気良く『おはようございます!』というと、他の出席者も気の入った声で挨拶を返し、


『では、始めましょう、宜しくお願いします!』

『お願いします!』

というように、まずはキリっとした挨拶をしてスタートをするのだという。


そこで、いつも一人だけしっかり声を出して挨拶をしない女性社員がいて、マナーを重んじる加藤にとっては気になってしょうがなっかた。

新年一発目の会議でも同様の態度に変わりなく、ついにその場でキレてしまったらしい。


とはいっても、会議の開始直後から空気をあまり乱すことも気が進まないので、抑え目の口調で

『◯◯さん、新年なんだし皆と同じように、もっと元気よく挨拶をしようよ、具合でも悪いんですか?』

と、軽く釘を刺すつもりで言ったところ、こんな返事が返ってきたという。


いかにも『心外です』といった目つきと口調で

『加藤さんがそう感じているだけで、私はちゃんと挨拶してるつもりですけど。』


僕はその話を聞いて加藤には悪いが思わず声をだして笑った。そういうタイプの女性は、年齢を問わずに珍しくはない。


そんなことで新年早々ずっと感情的になっているのか。


僕は彼に冷静になってほしくて、擁護するようにわざとこう伝えた。

『職場での挨拶をきちんと出来ない人間は、仕事に対する能力以前に、人間としての評価を下げていることにはなかなか気づかないんだよね』

加藤は『それそれ!』と言わんばかりの口調で声の大きさを上げ、

『そうなんですよ、本当に気分屋で周りからは「あぁ、また始まった」と思われているのを、いい加減に気づいてほしいですよ。』


言っていることは分かる。悪いことや間違っていることを言っいるようにも聞こえない。でも、一通り話を聞いてもそこまで彼の忍耐が限界に達している理由が分からなかった。

おそらくもう人間的に好きになれないので、全てが気に障ってしょうがない状態にまでなっているのだろう。


そう聞いてみると、図星のようで、少しの沈黙があった。


『それなら相手も加藤を扱いにくい相手だと思っていて当然だろうね。加藤の言葉だけは受け入れられないんじゃない?』


そんなに嫌気を感じている相手に、自分が振り回されていることを分かっているかな?いや、自分から振り回されに行っていると言った方がいいかも知れない。


『苦しくないか?そんな風に、相いれない相手に自分の感情を振り回されてて』


『・・・・確かにそうかもですけど。どうすればいいんでしょうね』


やっぱり彼のイライラは挨拶に関することだけではなく、もっともっと感情的な部分が原因のようだった。


その時、以前、ある方から言われた言葉が突然頭に浮かんだ。


『人は、みんな同じ人』


その方は僕のようにスポーツクラブで働く人間は、まず接することがない人達の運動のサポートを、自分の仕事が休みの日に行なっている。

僕はその方の活動が素晴らしいなぁと感じ、普段僕が接しているお客様とは、逆の人達のお手伝いをしていることへの敬意を伝えると、


『みんなおんなじ”ヒト”です』


という言葉が返ってきた。

自分の感じたことが、その人にとっては実は全くそうではなかった。
その人がどのような目線でそういった活動をしているかを深く考えていなかったことを気付かされ、申し訳なく思い、強く記憶に残っていた。


落ち着いた感じで加藤が言う。

『難しいですね、人の気持って』

『ひとはみんな、おんなじ”ヒト”だよ』

無意識にその言葉が僕の口からも出た。


別にそう考えて問題が解決するわけではないが、そう自分に言い聞かせるだけで、少しずつ苦しさから抜け出せるような気がしたからだ。


加藤がその相手のことをいきなり受け入れるのも、相手の態度を変えることも難しいだろう。


そうかといって自分がそうやって他人の言動に振り回せれていたら、ずっと自分が苦しいだけじゃないか?


まずは自分がその苦しさから抜け出さないことには、相手に何を言っても伝わらないだろう。お互いに相手を認めていないんだから。


扱いにくいって理由だけで、相手を認めることが出来ない自分も変わらないといけないんじゃないかな?


人を認めることって、難しい時もあるけど、すごく大切だよね。その大切さを考えたら、認めることを諦めたり、避けたりするのはもったいないよね。


『確かに、まぁ・・・う~ん・・・』

僕がたたみかけると、何かを考えているように加藤がうなった。


『人はみんなおんなじ”ヒト”。そんなふうに素直な気持で思ってみたらどう?自分だって気づかないところで周囲から「難しいなあぁ」と思われている部分があるような気がしない。僕だって自分がそういう人間だと思う。そしてね、もっと大切なのは、加藤の周囲にはそんな加藤でも認めてくれている人がいるってことなんじゃないかな?

僕はね、そういう人が周りにいることへ感謝の気持ちが持あるなら、「人の気持って難しい」なんて言葉が、自然と頭から消えていくような気がするんだよね。』


『じゃぁ、具体的にどんなふうに接していけばいいんですかね?』


『とりあえず笑顔で毎日挨拶してみたら?他の人と同じように。変な壁を作らないでさ。相手の話に頷いたり、笑ったり、リアクションをとりながら。

でも、そうやって歩みよっていったからと言って、相手が会議できちんと挨拶を行うことなんか期待するなよ。僕はね、まず大事なのは、加藤が今の苦しい感情から抜け出すことなんだと思うよ。全部それからじゃないかな。』


自分を大事に。自分の感情を悪い方向へ振り回されてはいけない。
その点については、すんなり腹に落ちた様子だった。


その後どうだったのか?分からないけど、それは問題ではない。
大事なのは、そこから相手に振り回されず、自分を軸に出来るかどうか。


そんな時に、自分自身へ投げかける言葉というのがあると、僕はスッと気持が落ち着く。

ひとはみんなおんなじ”ヒト”

その言葉を思い出しながら、自問すうことの威力を実感していた。
こういうのを言霊と言うのだろうかと。


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