2LDK 2018 5 8

だあれにも手の出せないフローリングの上にリビングテーブルかソファかどちらかを選んで置こうよ。そこで安全に気のすむまでキスをしよう。悲しみや憎しみが形になって襲ってくる前に、カーテンやすりガラスの向こうに装う悪意が満ちたとしても、抱き合って愛を誓おう。スピーカーがあればモニターはいらない。互いの声があればスピーカーはいらない。あっちの部屋にギターと白いシャツと夢を置こう。こっちの部屋に布団とワンピースと安心を置こうよ。
料理するキッチンから呼びかけるとシャワーの音に邪魔される。そのシャワーの中に誰もいなかったらどうしよう。でも大丈夫。ここでは誰もいなくならない。別れを決めたとしてもそれは限りなく混じりけのないピュアな選択。誰かに邪魔されてどちらかがいなくなることはない。ピュアに向き合う小さな領域に他の人はアクセントをつけることはできない。でも一緒に寄り添うためのこの部屋に失礼なことはできないよ。祝福してくれている部屋。
葬られない日常がここにある。拡散しないときめきが続く。今日を繰り返そう。季節も廻らない。太陽も昇らない。この少し寒いくらいの空気に体を慣らし永遠を繰り返そう。食べ物はふんだんに用意した。水もいくらでもある。この部屋のために用意されたすべてのものを享受しよう。今日味わう喜びを今日繰り返す。年を取らない。同じものを食べ、同じ会話をし、同じキスを繰り返そう。どちらかがいなくなる前に、いなくならない今日を繰り返す努力をしよう。明日を迎える喜びも部屋に満たされた食べ物も水もブランケットも使わない灰皿も心をノックしたほんの少しの過去の痛みも全部もって今日を繰り返そう。
外から襲ってくるものは誰もいない。中から吹き上がるものに注意すればそれでいい。
カギをかけたかい?チェック。ダブルチェック。慎重にこの暮らしに感謝しよう。
窓の外をみてはいけないよ。

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