イタリア、フィレンツェにて、イタリア人の夫と暮らしています。
2017年春に第一子となる息子ピピウ(仮名)を出産。
ただ、26週というかなりの早産で生まれてしまった息子。
息子が生まれてからNICUを卒業するまでの過去の出来事を当時の日記をもとに書いています。
〜母乳 生きる力〜
腰痛と首が回らなかった日の翌日。
NICUに行ってミルクの時間になるといつものように看護師さんが小さなシリンジに3mlの母乳を入れてやってきました。
ただ、いつもと違ったのは…
「お母さん、ミルク、チューブを通さずに口から飲ませてみようか?」
と。
それまでピピウは鼻から胃まで入っているチューブを通して3mlの母乳を胃に流し込んでいました。
それを、チューブを使わず、ミルクを口に含ませると。
まずおしゃぶりをピピウの口に入れて、口の端からシリンジでミルクを口に入れていきます。
そうすれば、おしゃぶりをピピウが吸うことによって、哺乳瓶、胸を吸ってミルクを飲んでいるような状態になります。
ということは、ピピウは"ミルクを飲み込む"という動作をしなければなりません。
ヒトにしろ、動物にしろ、生まれたら自然と母親の乳を探し吸うという行動をとりますが、ピピウはかなりの未熟児で生まれたため、生まれてこのかた口に直接ミルクを含んだことがありません。
ちゃんと飲んでくれるか不安でしたが、与えられた小さなおしゃぶりを一生懸命吸う姿を見た看護師さんが提案してくれました。
看護師さんが見守る中、おしゃぶりをくわえさせ、私が少しずつミルクを口に含ませます…。
ちゅっちゅちゅっちゅ。
飲んだ!
たった3mlの母乳。
一瞬で終わってしまいましたが、ピピウがちゅっちゅと口から母乳を飲んでくれたことがとても嬉しかったです。
翌日は更にレベルアップ。
哺乳瓶からミルクを飲むことに挑戦です!
未熟児用の小さなちくびの哺乳瓶を使います。
ピピウの口に哺乳瓶のちくびを入れると…
ちゅっちゅちゅっちゅちゅっちゅ。
一瞬でなくなる母乳。
その飲みっぷりの良さを見て、看護師さんが「ブラボー、ピピウ!
未熟児の赤ちゃんがちゃんと哺乳瓶からミルクを飲むことは大変なことよ。」
と褒めてくれました。
嬉しくて、親としては欲が出て、
「胸から母乳を飲ませることはできませんか?」
と聞きました。
看護師さんがドクターに聞いてくれましたが、3mlというごく少量を胸から直接やってはかるのは難しいのと、現段階では3ml以上ピピウに母乳はやれないという事で却下されました。
母乳が出るのに、直接胸から母乳をやれないのは寂しかったです。
でも、そんなことはそれほど大切ではありませんでした。
どんな形でも、飲んでくれるのが大事。
育ってくれるのが大事。
看護師さんが褒めてくれたように、ちゅっちゅと哺乳瓶を吸って飲む力があるというのが既にすごいこと。
生まれたばかりの赤ちゃんが、お母さんのおっぱいを探し、吸い付いて、母乳を飲むことって当たり前のことのようですよね。
でも、私は今、赤ちゃんがミルクを飲む姿は生命そのものだと思います。
小さな体で生きるためにごくんごくんと力強くミルクを飲み込む赤ちゃんの姿には生命力を感じます。
ピピウが哺乳瓶から母乳を飲んだ時、ピピウの生きる力をこれまで以上に感じました。
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