受験がいよいよ始まりますね。
この時期に塾の先生などが生徒に送る寄せ書きには、『絶対受かる!』『君なら大丈夫!』『努力は裏切らない!』などという熱いメッセージが書かれています。ですが僕が受験を迎える生徒に伝えたいことは、こうしたエモーシャルなものではありません。
僕ができるだけ丁寧に説明するようにしていることの1つ目は、『受験は受かることもあれば落ちることもある』ということです。こういうことを言うとせっかくの頑張りに水をさされたと怒る生徒がいるかもしれません。『絶対に合格させるつもりで指導してください』と不快に感じるご両親もいるかもしれません。
ですが、教師は絶対合格させるつもりで教える・生徒は絶対合格するつもりで勉強する・両親は絶対合格できるようサポートすることは大前提で、それでもやはり不合格を貰うことがあります。
そもそも受験倍率が3倍であれば、3人に1人しか合格できません。まして第一志望は生徒の偏差値より高いことが多いです。第一志望に合格することはそれだけ難しいと言うことです。
子供は第一志望しか見ていません。そして偏差値が足りていなくても、過去問で合格点を取れなくても、心のどこかで合格できる気になっています。僕はこれは健全なことだと思っていますし、憧れの学校を目指して勉強することはいいことだと思います。
問題は、ご両親まで根拠なく「うちの子は受かる」と思い込んでしまうことです。それは子供を信じるということとは別問題です。ご両親は合格の確率をシビアに見通して、不合格の場合を想定しておく必要があると思います。
第一志望が不合格であった場合に大切なことは3つ。
1つ目は、実際に進学する学校のことを悪く言わないこと。「あんな学校なんて」と親が言ってしまうと、子供は学校の先生や授業を軽視するようになります。中学・高校生活において勉強の中心はなんといっても学校です。学校の勉強を軽視して、難関大学に受かることはありません。
2つ目は、両親まで落ち込まないこと。両親が落ち込むと子供は罪悪感と敗北感に打ちのめされてしまい、勉強が嫌いになってしまいます。
3つ目は、大切なのは大学受験なのだということを伝えること。中学受験は大学受験のためにあると言っても過言ではありません。大人になれば出身大学を聞かれることはあっても、出身中学を聞かれることはほとんどありません。就職活動においても出身大学が影響することはあっても、出身中学はほぼ関係ないということ。どんなによい中学に行ってもそこで落ちこぼれるくらいなら、ランクを落としてもそこでしっかり頑張る方がどれだけ良いか分かりません。僕は有名進学校に合格したもののゲームなどにはまって中学・高校の勉強についていけなくなり、留年しそうな生徒を教える機会が多いですが、一度そうなってしまうと勉強を本来の軌道に戻すことが本当に大変になります。これは慰めではなく、本当のことです。
だから僕はこういったことを、できるだけ『受験前』に生徒に伝えるようにしています。受験後に言うと、慰めで嘘を言っているように感じる生徒がいるからです。僕が受験前に生徒に伝えたいことは、まとめると以下のようなメッセージです。『頑張れば夢は叶う』式のメッセージよりも冷めているでしょうか。
受験は落ちることもあるんだよ(落ちることの方が多いんだよ)
第一志望がダメだったとしても君の受ける学校はいい学校ばかりなんだよ(受かった学校が君にとって一番良い学校なんだよ)
大切なのは中学受験よりも大学受験なんだよ(あるいは大学より先の人生なんだよ・僕は無名の中学卒だけど東大行けたよ)
大切なのは中学以降も勉強し続けることなんだよ(僕はこの歳になっても勉強し続けているんだよ)