僕は毎年12、3人の生徒を見ており、受験生はそのうちの半分ほどなのですが、この時期に受験結果が出るのは珍しいことです。結論から言うと、中央大学の法学部の推薦を貰って、無事受験が終わりました。
その生徒は小学校6年生の時に指導を始めました。都内の中堅の中高一貫校に合格した後、中学・高校の間、6年に渡って指導してきました。
彼は中学受験が終わった後、燃え尽きたようになってしまいました。根が真面目な子なので、学校の勉強はしっかり聞いてくるのですが、家に帰るとゲームばかりで全く勉強しませんでした。塾にも行っていなかったので、勉強といえば週に2時間の僕との授業だけ。僕も必死で数学と英語を教えるのですが、基本事項を押さえるのが精一杯で、当然学校の成績も奮いませんでした。校内の順位は中の下、あるいは下の上といったところで、中堅校でのことですので、難関大学進学は難しい状況でした。
ご両親は本人のやる気に任せるのが良いとの判断で、そのまま高校2年になりました。そこで彼のスイッチが突然入ったんです。ある程度以上の高校では、高校2年の終わり頃には受験モードに入ります。クラスメイトの多くが塾に入って必死で勉強しているし、一部の子は早慶を目指しているとも聞く。それに影響されたんですね。ご両親や僕が「いくら勉強しなさい!」と言っても効果なかったものが、クラスメイトがやっていると、やらなきゃいけないって気になってくる。
これが出来るだけ良い中高に入学しなければならない理由でもありますね。ベイタウンでいえば、秀英・渋幕あたりに進学し、退学になったり登校拒否になったりしない限りは、いつかやる気を出してくれると期待できます。
この生徒に関しては、ご両親が放任主義で、無理に勉強させなかったのも、結果的に良かったようです。もちろんある程度発破をかけるのですが、怒鳴ったり、強硬な手段に出ることはありませんでした。
そして彼が自分で勉強するようになってからは一気に成績が上がりました。駿台や河合塾の模試で、文系3科目で40くらいだった偏差値が、高校3年生の9月には60を超えてきました。
こうして急激に成績が上がるという話は巷に溢れていますが、実際にはなかなかないものです。ビリギャルの話などでもそうですが、元々の素質(ビリギャルは愛知の超進学校出身)や、やる気のタイミング、以前にあまりにも勉強してなかったなどという事情が重なって、数字マジックが生まれるんですね。またビリギャルの入学した慶應大学の学部の入試は英語と小論文だけですし、たとえば偏差値70と言っても、英語だけの偏差値70と、苦手科目も入ってくる5教科での合計偏差値70とは全く別次元の話です。
話が逸れましたが、「○ヵ月で偏差値が○○上がった」などという話は鵜呑みにして欲しくないというのが、受験に携わるものの本音です。実際はコツコツと少しずつ上げていくものです。ですが、ともかくその生徒は、やる気を出してから一年足らずで文系3科目の偏差値が20上がったんですね。それも偶然ではなく、ここ数回の模試はずっとその程度の偏差値をキープしていました。「このまま伸びれば難関大学いけるね!」などと話していた所で、推薦に応募することを学校の先生に勧められたようです。彼のこれまでの学校の成績では正直厳しいと思っていたのですが、希望者が重ならなかったせいなのか、彼の最近の頑張りや真面目さが奏功したのか、とにかく推薦を正式に頂きました。
僕との授業で過去問を解いていた時に、ちょうど学校の先生から電話が掛かってきて、「ちょっと行ってきます」と彼が部屋を出て行き、「中央の推薦貰いました」と戻ってきました。2人でしばらく呆然としてしまいました。「今解いていた過去問どうしようか?」「やめましょうか」などと話して、結局大学生活などについて話して、その日の授業は終わりました。
7年も指導していた生徒ですし、1月までは指導するつもりでいたので、大学決まったからといってすぐには別れがたいものがありました。また大学入学までは半年もあるので、そこをどう過ごすかが大切ではないのかと話しました。実際に受験が終わった直後というのは、とても大切なんですよね。この時期で未来が決まるといっても過言ではないです。彼は中学受験が終わった時に燃え尽きてしまいその後苦労したのですが、今はせっかく大学受験に向けて頑張っていたのだから、その勉強習慣を維持することが、いつか社会人になる時のことを考えても大切なんだよと。そうして話した結果、しばらくの間、僕とTOEICの勉強をしようということになりました。中央大学では入学してすぐに全員TOEICを受けて、その結果で英語のクラス分けがなされるということなので、事前に最低1回は個人的に受けて対策するつもりです。
残り半年ですが、楽しく指導できるはずなので、ワクワクしています。
