朝露の泉 | ホタルの恋のうた

朝露の泉

夜の上のほうを飛ぶと
建設機械や
居場所を間違えたかもめの声がする。

暖かい我が家が見える。
灯の消えた過疎の町。
おばあちゃんが7時に眠る
闇の深い深い町。

片隅ではそっと
唇をつなぎ肉をまさぐる。
君の顔は誰?
誰でもいい。
やわらかい布みたいな
闇がくるんでくれるから。

生まれたての犬の子。
死んでゆく痴呆の年寄り。
泣いている気の強い女の子。
狙ってるハイエナ。
雑居ビルの蛍光灯の下で
札を数える詐欺師。
男に生まれた女は
振られてこの世を呪い酔いつぶれてる。
みんな同じ夜の襞に包まれて
朝の光に消える露。
朝露は一体、誰の涙なの。