『実践 波動速読法―間脳をひらく子ども力―』飛谷ユミ子
古本屋でたまたま見つけてつい買ってしまった。400円返せ(始めに言っとく)。
この本の面白いところは、七田本の一つ(七田眞による七田式幼児教育についての本)でありながら、七田本人が書いたものではなく、七田チャイルドアカデミーの講師(「講師師範」だそうだが)による実践の書である、というところだろう。内容のトンデモっぷりもさることながら、どのような「実践」が組織内で手本とされているのか、という興味もあって、購入してしまった。
中身はまあ凄いもんで、麻布中に受かった(志望校が決まったら成績が上がった、脳の質に変化が生じたからだ、そうだ)だの、ホーキングに手紙を書いただの、絵画コンクールで受賞したのだのと言った話が並ぶ。それに混じって、右脳開発がどうとかのトンデモ理論が開陳される。
全部紹介してもしょうがないので、幾つか妙ちくりんなエピソードを紹介するとしよう。
それよりも凄いのが、「花が咲かないのなら、捨ててしまいますよ」と声をかけた、というところだ。大変だ! 汚い結晶ができてしまう! とツッコんだのは私だけではないだろう。
あるいは同じ章の「子どもが遺伝子を語る」から。p.75
他にも「白紙の本からでも情報がとれる」(p.120)とかもうなんと言ったらいいのかわからないような、内容というより着想自体がもうトンデモ全開のエピソードもあるのだが、長くなるので最後にもう一つだけ。
第九章「胎教から右脳教育で」。この時点でもうスゴそうな雰囲気たっぷりですが、最初の節がスゴいよ~。p.174。「酸味を増した羊水は赤ちゃんの天敵」。出た~、羊水!
なお、倖田來未の羊水発言は2008年初頭、江本勝らが羊水の結晶写真の撮影をはじめたのは2008年後半 。ということになると、この本の出版年である2003年の段階で羊水に注目していたのは、ある意味先駆的(ある意味、ね)ということになる。飛谷氏の思いつきなのか、七田氏の思いつきなのかはわからないが。しかしまあ、これがもしかしたら後の羊水騒動のきっかけだったのかもしれん。
…あー、amazon だったら古本で240円だ! まあ送料込みにしたら400円の方が安いか。しかしコメントで絶賛されているのがなあ…。
この本の面白いところは、七田本の一つ(七田眞による七田式幼児教育についての本)でありながら、七田本人が書いたものではなく、七田チャイルドアカデミーの講師(「講師師範」だそうだが)による実践の書である、というところだろう。内容のトンデモっぷりもさることながら、どのような「実践」が組織内で手本とされているのか、という興味もあって、購入してしまった。
中身はまあ凄いもんで、麻布中に受かった(志望校が決まったら成績が上がった、脳の質に変化が生じたからだ、そうだ)だの、ホーキングに手紙を書いただの、絵画コンクールで受賞したのだのと言った話が並ぶ。それに混じって、右脳開発がどうとかのトンデモ理論が開陳される。
全部紹介してもしょうがないので、幾つか妙ちくりんなエピソードを紹介するとしよう。
まずは、第三章「波動速読は何に生かされるのか」のp.72「たった一言でアマリリスが花を咲かせた」より引用(太字強調は引用者による)。
(…)私の家のベランダにはアマリリスの花があります。今ではたくさんの花をつけるのですが、かつては葉っぱばかりが生い茂って、ちっとも花をつけてくれませんでした。そこで、私はアマリリスに「花が咲かないのなら、捨ててしまいますよ」と声をかけてみました。いや~すごい。最後の一文はほとんどバクスター効果 だが、トンデモ具合を端的に示すものだろう。
その二、三日後から、私は社員旅行で京都に行っていました。そして帰ってきてみると、ベランダのアマリリスがたくさんつぼみをつけていました。それからどんどん大きくなって、通常のアマリリスの倍くらいの花を咲かせるようになりました。
このように、潜在意識からの想念エネルギーは、自分の体だけではなく植物にも伝わるものなのです。
それよりも凄いのが、「花が咲かないのなら、捨ててしまいますよ」と声をかけた、というところだ。大変だ! 汚い結晶ができてしまう! とツッコんだのは私だけではないだろう。
あるいは同じ章の「子どもが遺伝子を語る」から。p.75
村上和雄先生の『生命の暗号』(サンマーク出版刊)という本を、子どもたちは波動速読しました。この本は、遺伝子について書かれた、いわば学術書です。私たちの取り組みは、このような本を読んだ上で、これからの遺伝子はどうなるだろうかという、イメージと波動速読をドッキングさせるというところまで進んでいきました。なんちゅうか、子どもナメるな、と言うべきなのか、先生もう少しマンガとか読みなよ、と言うべきなのかわからんが、こういう驚きかったってどうなのか、と思ってしまう。
するとある子が、「遺伝子の研究がどんどん発展していけば、恐竜を生み出すこともできるかもしれない」と言いだしたのです。それから、遺伝子の研究が進んで人間が進化を続けていくと、遥か未来には今とはまったく違った体形になるのではないか、とも言いました。
他にも「白紙の本からでも情報がとれる」(p.120)とかもうなんと言ったらいいのかわからないような、内容というより着想自体がもうトンデモ全開のエピソードもあるのだが、長くなるので最後にもう一つだけ。
第九章「胎教から右脳教育で」。この時点でもうスゴそうな雰囲気たっぷりですが、最初の節がスゴいよ~。p.174。「酸味を増した羊水は赤ちゃんの天敵」。出た~、羊水!
受精するためには、卵管に単細胞である卵子が送られて、そこに五億という精子が入り込んでくることにより、受精が行われます。生命誕生の瞬間です。もうほとんど脅迫だよなあ。ツッコミどころ満載だけれど、満載すぎてツッコミきれないので省略。ツッコむ必要もないでしょう。しかしpHが瞬時に3まで下がるって一体どこで仕入れてきたんだろう?
この時に精子が一匹で入ってくると、べん毛にぶつかって死んでしまい、タンパク源になります。ところが、五億という精子がいっぺんに押し寄せてくると、不思議な現象が起こるそうです。卵子の入口がパカッと開くのです。
その原因は、音なのだと考えられているそうです。卵子には耳も口も頭もないのに、精子が押し寄せてくる音が入口を開かせるのです。おそらく、これは右脳的な音でしょう。テレパシーと言ってもいいかもしれません。こうして受精が成立するのです。
単細胞である卵子ですら感性があり、記憶があり、本性があるわけです。ですから、胎児の間脳を刺激して、いい感性いい記憶いい本性を入れていくことができるのです。これが胎教です。
そして、甘酸っぱい海水のような羊水の中で、赤ちゃんは指しゃぶりをしたりあくびをしたりして、成長していきます。ところがこの羊水は、瞬時に味が変わってしまうのです。羊水のpH値は、通常7.8くらいです。しかし、たとえば買い物に行こうとして財布を忘れたと思うだけで、2,3秒で5くらいまで下がってしまいます。もっとひどいのは、感情的になって夫婦げんかをすると、一気に3ぐらいにまで下がります。
pH値が下がるということは、酸味が増すわけです。赤ちゃんがとても気持ち良く指しゃぶりをしていたら、いきなり酸っぱくなるわけです。羊水の中は憩いの場ではなく、体は硬直して、心地良い空間ではなくなります。同時に、羊水の中では、赤ちゃんはお母さんの心臓の鼓動や血液のサラサラ流れる音、骨のきしむ音、そして腸の蠕動音などをBGMで聞いています。ところが、お母さんが感情的になると、心臓の鼓動が速まります。血液も洪水を起こします。骨のきしむ音もひどくなります。このような騒音の中で、しかも酸味の増した羊水の中で、心が育つわけがありません。
ですから、赤ちゃんには胎教が非常に大切なのです。ここを説くと、お母さんたちは一斉に背筋をピンと伸ばし、神妙に「わかりました」と言います。
なお、倖田來未の羊水発言は2008年初頭、江本勝らが羊水の結晶写真の撮影をはじめたのは2008年後半 。ということになると、この本の出版年である2003年の段階で羊水に注目していたのは、ある意味先駆的(ある意味、ね)ということになる。飛谷氏の思いつきなのか、七田氏の思いつきなのかはわからないが。しかしまあ、これがもしかしたら後の羊水騒動のきっかけだったのかもしれん。
…あー、amazon だったら古本で240円だ! まあ送料込みにしたら400円の方が安いか。しかしコメントで絶賛されているのがなあ…。
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