ABO FAN「理論」の謎が解けた? | ほたるいかの書きつけ

ABO FAN「理論」の謎が解けた?

ABO FAN氏とコメント欄で色々やりとりをしていたのだが、ここに来て、幾つか決定的なコメントが出たように思う。
 まず、ここで言っている「ABO FAN理論」について簡単に述べておこう。「ABO FAN『理論』の問題点 」でも述べたが、一言で言うなら、
思い込みがあれば母集団に差が出ることは明らか
ということだ。で、日本人の約7割は「思い込み」(血液型ステレオタイプ)を保持しており、思い込みがあれば「100%」影響があるので、原理的に差が出るのだ、と宣うのである。なお、「100%」ということについてはABO FAN氏自身がこのコメント(#44) で明言している。

> 結局、ステレオタイプを持つ者のうち、何%が影響を受けて性格(あるいは性格の自己報告)が影響されるのか、示せないということですね。

はぁ?
日本語は大丈夫ですか?
私は、#41に「性格心理学の定義では、ステレオタイプを持っていれば、必ず影響されることになます。」と書いてますよ。
要するに100%です。
繰り返しになりますが、私が言うのではなく、性格心理学が言っているのですよ。

ABO FAN 2009-05-17 01:08:51
この発言が出るまで、何人もの人が、「なんで『必ず』なんだ」と質問していたわけだが、これでABO FAN氏は100%である、しかもそれは「性格心理学」によると、などと言ってしまったのである。

ただし注意する必要があって、その後のコメント(#48) ではこんなことも言っている。

> 100%ではないですよね。だったら、JNNデータでたった数ポイントの違いになんてなるわけないんだから。

あのう…。ちゃんと日本語の文章が読めますか?
JNNデータは、そもそも血液型なんかとは関係ない質問ですよ。差が小さくて当然ではないでしょうか?
他の調査は、きちんと差が出そうな項目を選んでいるので、もう少し大きな差が出ているようです。

ところで、最近のFSMさんは、どこかおかしくありませんか?
体調が悪いのかと、少し心配です。
お大事に。

ABO FAN 2009-05-17 08:05:42
心配されちゃったよ!!
…ってのはまあどうでもいいんですが、これによって、一体どっちやねんと心の中でツッコんだ人は少なくないだろう。

で、ここまでは「おさらい」。昨日、決定的とも言える発言が飛び出した。このコメント(#234)。

>> > ステレオタイプは自分についてとは限りません。世間の○型は~で、自分も○型だけど自分は~じゃない、でもいいんですよ。
>> その人は、たぶんステレオタイプを持ってない人ですよ。(苦笑)
> ホント苦笑しますね。ステレオタイプとはなんなのか、調べてから言ってくださいね。

血液型と性格に関係があるという人は、世間の○型と自分の○型が一致する(もちろん、すべて一致する訳ではありませんが)という人ですよね?

>> > 私のABO FANさんへの批判について、ちゃんと具体的に反論してくださいね。
>> 心理学がわからない方には、どうかご遠慮させていただきたく、よろしくお願いします。
> 念のため言っておきますが、心理学以前の、論理の問題ですから。心理学を知らない人でも、ABO FANさんの論理展開のおかしさは理解できますので。

やはり、心理学をわかってないじゃないですか。(*_*)
心理学以前ではなく、「心理学の論理」ですから、s当然のことながら、心理学をわからない限りわかりません。


ABO FAN 2009-06-02 00:11:42
ポイントをもう一度引用します(太字強調は引用者)。
血液型と性格に関係があるという人は、世間の○型と自分の○型が一致する(もちろん、すべて一致する訳ではありませんが)という人ですよね?
さらに、#241(の後半) では、
>> 「ステレオタイプ」の研究は、私が知っているものもいくつかありますが、FSMさんがおっしゃるようなものはなかった、と記憶しています。
>> よろしけれれば、出典をお願いします。
> ABO FANさんが持ってる心理学の文献に載ってると思いますが。

???
これらは、「ステレオタイプは自分についてとは限りません。世間の○型は~で、自分も○型だけど自分は~じゃない、でもいいんですよ。」という内容ではないですよね?
ABO FAN 2009-06-02 01:13:50
とダメ押ししてくれている。言質を取られないように必死になっている様が窺えるが。

ABO FAN氏は、慎重にも、「血液型ステレオタイプとは」と述べるのではなくて、「血液型と性格に関係があるという人は」と述べているが、文脈から血液型ステレオタイプについて述べているとみなされても言い逃れはできまい。まあ、血液型と「性格」の関係の話をしているのに、世間の○型と自分の○型、と血液型同士を比べて何をやりたいの、というツッコミはあるが、ここは言質を取られないよう必死に言葉を選んで結果的にわけがわからなくなったのだろう、きっと。

 さて、血液型ステレオタイプとはそもそもなんだろうか。簡単に言えば、「○型の人は~という性格である」というように、ある特定の集団(この場合は血液型が○型である集団)は、~という典型的な性格を持つ、ということである。念のため、いくつかの文献から引用しておこう。
 ■「手っとり早さ」の魅力
 血液型による性格判断は、それを信じている人にとっては他人を判断するための非常に「手っとり早い」方法です。たとえば、友人を人に紹介するとき、その人の性格を事細かに説明するかわりに、「彼/彼女はA型です」と言うと、その人のイメージがパッと浮かびます。これは、「A型性格」がもっている一般的なイメージを思い浮かべた結果です。このように、ある血液型のイメージから他人の性格を推測することは、簡単で労力を要しません。この「手っとり早さ」が、血液型による性格判断を広めている理由の一つだと考えられます。
 このようなある集団の一般的なイメージをステレオタイプといいます。(以下略)
『不思議現象 なぜ信じるのか』(菊池聡、谷口高士、宮元博章編著)p.141

 ABO式の血液型によって人の性格が異なるという信念は、現代日本に広まっている。詫摩・松井(1985)はこの信念を「血液型ステレオタイプ」と命名した。
 (略)
 ステレオタイプ(STEREOTYPE)は固定的な考え方や行動の仕方を意味する言葉であるが、社会心理学では「特定の集団に属しているという理由で、その集団のメンバーが特有の性質をもっているという信念で、その社会に広く普及したもの」を社会的ステレオタイプと呼んでいる。たとえば、「フランス人は芸術的センスがよい」という信念は、フランスという国(集団)に属している人(フランス人)がすべて、芸術的センスという特有の性質をもっているという信念を意味するので、社会的ステレオタイプの一つと考えられる。A型B型という血液型によって性格が異なるという信念も、特定の血液型と個人の性質を結び付けており、社会的ステレオタイプの一つとみなすことができる。
「分析手法からみた『血液型性格学』」(松井豊、『現代のエスプリ』324, p.114)

 ABO式血液型の四カテゴリーによって人を分類し、同じ血液型の人に同じ性格をあてはめるという思考様式は、人種や性別によって人を判断するのと同様にステレオタイプの一種とされている。
「血液型ステレオタイプの解消と変容」(上瀬由美子、『現代のエスプリ』324, p.146)

 詫摩・松井(1985)は、血液型性格判断を一種のステレオタイプであると考え、血液型と性格との関連性について人々が持っている信念を「血液型ステレオタイプ」と命名した。「血液型ステレオタイプ」とは、血液型と性格の間には何らかの関連性がある(血液型が違えば性格も違う)とする信念である。
「血液型ステレオタイプ形成におけるプロトタイプとイグゼンプラの役割」渡辺席子、社会心理学研究、10, p.77 (1994)

という具合にABO FANさんが持ってそうな文献から列挙したけれども、集団についての偏見なのである。決して自分についてではない(もちろん自分が含まれていても構わないが)。松井さんの例で言えば、自分に当てはまるものがステレオタイプならば、フランス人は芸術的センスがよいというステレオタイプはフランス人しか持てなくなってしまうではないか!

 で、ABO FAN氏の勘違いを明確にしたところで、ではABO FAN氏がそのように勘違いしていると仮定すると、「ABO FAN理論」はどのように解釈できるか考えてみよう。
 …いやまあ考えるまでもないですね。自分に当てはまるものを血液型ステレオタイプと称するなら、そりゃステレオタイプを保有している人は100%影響出るわな。でも、日本人の7割が持ってるステレオタイプって、そんなんじゃないですよね。山崎・坂元論文の前調査で、JNNデータの性格特性についての質問項目のそれぞれが、どの血液型の性格そうかを答えさせることによって、ステレオタイプに基づく「○型的性格」というのを作っていたけれども、あれだって自分と違う血液型についても答えていたわけで、その時点で自分に当てはまるかどうかは問題ではない。

 というわけで、半年ほど前に出されたABO FAN氏についての人物評について、ちょっと修正(あるいは補足)が必要かもしれない。これね→「ニセ科学批判について読んでいく中で出てきそうな人物」

論理 破綻 が激しく、論理破綻 しており、破綻 した論理 を展開する。

知っている単語を繰り返す。意図 しているかは不明だが、クオート・マイニング を駆使する。

えーと、書いたの私じゃありませんよ?(と今更一応言ってみる)。
 ABO FAN氏の論理が破綻しているのは明らかなのだが、今回の件で、破綻の一因に前提を誤って理解しているというのがかなり大きいのでは、という気がした。もちろんそれ以外の論理も破綻しているので、あくまでも一因だが。しかし、こういう重要な概念について適当なことを言っておいて、心理学は御存知ないだの散々言ってくれたなあ。

 なんていうかなあ、私は哀しいですよ、とっても。そこかぁ~っ!!ガクっ…というような…。