『人間』加古里子(かこさとし)
こないだの『神様のパズル』のエントリ
がらみで一つ思い出した。加古里子(かこさとし)の絵本、『人間』がスゴイのだ。どんなにスゴイか、中身を語るより、各ページのタイトルを見ていただくのが早いだろう(見開き2ページで1タイトル)。
最初の「宇宙のはじまり」では、ビッグバンからはじまって、太陽ができるまでが一気に語られる。クォークや元素合成、強い力・弱い力なんて言葉も書いてある。子どもにはチンプンカンプンかもしれない。でも、きっと、「なんかすごくワクワクドキドキする」に違いない。
人間が登場するのはこの本の半ばからだ。それまでは延々と、人間が誕生するまでの世界を描いている。それはつまり、人間というものが、世界から切り離されて独立に存在するのではなく、どのようにこの世界に位置づけられているのかを明確にし、宇宙の・地球の中の人間、様々な生物種のなかの人間、という姿を明瞭に描き出す。
人間の解説は、その物質的な部分(肉体的な部分)だけにとどまらない。豊かな精神活動についても丹念に描かれている。外界にはたらきかける、能動的な存在としての人間、知識を集積し、美に感動する人間の心。さらに「個」を越えて、集団としての人間にまで触れられている。
百科事典的な描き方ではなく、ものの見方を教えてくれる絵本、と言っていいだろう。
1995年の出版だが、17年の歳月をかけて製作されたそうだ。その歳月に相応しい、壮大なスケールである。子どもは勿論、大人でも十分に読み応えのある絵本である。
- 宇宙のはじまり
- 地球と海のたんじょう
- はじめてできた生命
- あらわれた海の生物と魚類
- 植物と動物の上陸
- 恐竜とその大絶滅
- 鳥類とほにゅう類の時代
- 人類の祖先とその歩み
- 地球の生物の歴史
- 子をうんでそだてる人間
- おなかのなかの赤ちゃん――胎児
- 成長してゆく子ども――乳児から成人へ
- 骨と筋肉のはたらき
- 食べ物とその消化の道すじ
- いろいろな内臓のやくめ
- 心臓と肺のようす
- 脳と神経のしくみ
- 人間の手とはたらく力
- 人間の知恵と知識のつみかさね
- 美しさをもとめる人間の心
- 人間のあつまりと社会の混乱
- 死のおそれと悲しみをこえて
- あなたが、そして君も、人間です
最初の「宇宙のはじまり」では、ビッグバンからはじまって、太陽ができるまでが一気に語られる。クォークや元素合成、強い力・弱い力なんて言葉も書いてある。子どもにはチンプンカンプンかもしれない。でも、きっと、「なんかすごくワクワクドキドキする」に違いない。
人間が登場するのはこの本の半ばからだ。それまでは延々と、人間が誕生するまでの世界を描いている。それはつまり、人間というものが、世界から切り離されて独立に存在するのではなく、どのようにこの世界に位置づけられているのかを明確にし、宇宙の・地球の中の人間、様々な生物種のなかの人間、という姿を明瞭に描き出す。
人間の解説は、その物質的な部分(肉体的な部分)だけにとどまらない。豊かな精神活動についても丹念に描かれている。外界にはたらきかける、能動的な存在としての人間、知識を集積し、美に感動する人間の心。さらに「個」を越えて、集団としての人間にまで触れられている。
百科事典的な描き方ではなく、ものの見方を教えてくれる絵本、と言っていいだろう。
1995年の出版だが、17年の歳月をかけて製作されたそうだ。その歳月に相応しい、壮大なスケールである。子どもは勿論、大人でも十分に読み応えのある絵本である。
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